JRで乗車拒否にあったと発信した障害者に、誹謗中傷が投げつけられている。

発端は車いすを利用する伊是名夏子さんのブログ記事だ。ネットの炎上も含めて、今回の問題をどうみるのか、社会学者である東工大の西田亮介准教授に聞いた。

私的な体験にもとづく問題提起は、攻撃を引き起こしやすい。西田氏はそれでも、個人攻撃に理由はなく「下品だ」と指摘する。

今回の問題を考え、解決するにあたって、我々は「冷たい日本社会」を現実として受け止める必要がある。(編集部・塚田賢慎)


●問題の本質を損なわせる下品な攻撃

ーー記事(4月4日)が出てから今もなお、批判は続いています。
伊是名さんの投稿を掘り起こして、ディズニーランドに子ども料金で入園した疑いなどが指摘され、炎上が炎上を呼び、摩擦・分断が起きました。
伊是名さんは誹謗中傷をやめるように呼びかけています

西田:障害者が移動の困難にぶつかり、様々な解消の手段があるなかで、JRとのコミュニケーションがうまくいかなかった。
最終的には移動できたが、メディアに取材させたり、ブログで情報発信したりしたことで、炎上につながったという事案です。
結果移動できたからよいのか、当事者に小さいとはいえ追加の負担を求めるのか、それとも社会が改善を図るのかということが気になっています。

しかしその前に、ネットの反応について言及したい。

たとえば、社民党における立場といった、個人の属性や、過去のキセルのような話は、個々にその是非が検討されるべきであって、本件と絡めた個人攻撃はとても下品です。

伊是名さんが「乗車拒否」という強い言葉で問題を投げかけたのも、やむをえないでしょう。
今回そのような意図があったのかどうか最終的にはよくわかりませんが、困難を抱える人が障壁にぶつかったとき、
対応や権利獲得、権利保障をもとめて、時代ごとの社会通念や規範との間に摩擦を起こすアプローチは、社会運動で取られてきた手法です。





「物言う障害者」に攻撃が殺到する背景 西田亮介氏が語る「冷たい日本社会」論
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