まさかの逆転、日本の技術はなぜ中国に抜かれたのか

 2012年頃のことです。筆者は、日本と中国の製造業における技術格差について、周りの人によく次のようなことを口にしていました。

 「日本と中国の技術格差は2000年頃が100:1だとすると、今は10:1程度にまで縮まっている。今後、この差はさらに縮まっていくだろう」

 そうした考えから、日系企業関係者に会うと「今なら日系企業が保有する技術や特許には中国企業の買い手がつくはず。それらはまとめて売却し、そのお金で新規事業に投資した方がいい」と勧めていました。

 あれから約10年が経った現在、当時は買い手がついたであろう日系企業の特許や技術を買いたいと思う中国企業は、もうないでしょう。

 また日本と中国の技術格差も、10:1どころではなく、現場労働者の能力から先端産業技術まで今や中国の方が日本を上回っているのではないかと筆者はみています。

 一体なぜ日本と中国の技術力は逆転してしまったのか。その背景と原因を考えてみたいと思います。

■ 家電はほぼ全滅、工作機械も黄信号

 最初に、現在日本が国際市場において置かれている立場を主要な製造産業ごとにみていきましょう。

 まず、かつては自動車産業と並んで花形だった家電産業は、完全に中国系に敗北してしまいました。東芝をはじめ既に多くの家電メーカーは家電事業を中国企業に売却しており、パソコン事業も大半が中国系の資本に収まっています。

 携帯電話に至っては、ソニーがまだ頑張ってはいるものの、国際市場における販売台数では中国系に遠く及ばず、国際競争力はまったくかなわない状況です。

続く
https://news.yahoo.co.jp/articles/657fcb7fe11e45fd26ed7b359b1cd7e2fc330753