新型コロナウイルス渦中に各国が競うように供給した「緩和マネー」が、
株や暗号資産(仮想通貨)などの高騰を通じ、世界的に富裕層の懐を膨らませている。
日本では1億円以上の別荘が短期間で完売し、
高級ブランド時計が市場から姿を消す異常な事象が起きている。
日本中が沸いた1980年代のバブル景気と異なり、
低成長時代に溢れるマネーは通貨価値の下落と資産の膨張を同時に引き起こし、
「持てる者」と「持たざる者」の格差を一層際立たせている。

象徴的なのが、高級腕時計のロレックス。
人気モデルは新品が手に入らず、転売目的が多い中古市場で
定価の2ー3倍に当たる300万ー400万円で取引されている。
日本ロレックスによると、世界中で人気モデルの引き合いが強く、
商品の提供が需要に追い付かないという。

高級別荘地として知られる長野県の旧軽井沢地区では、
昨年秋に東急リゾートが売り出した「億ション」が半年ほどで完売した。
建物はもちろん、モデルルームさえまだ存在しなかったが、
広さ90ー185平方メートル、
1億─2.5億円程度の物件は抽選になるほどの人気を集めた。

<富裕層は濡れてに粟で格差拡大>
しかし、30年前のバブル期と今とでは大きく異なる点がある。
1986年から91年の実質成長率は年5%を超え、日本中が好景気に沸いた。
一方、戦後2番目に長い景気拡大を記録した2012年から18年の成長率は年1%強。
コロナが直撃した20年は4.8%のマイナス成長となった。
低成長の中で資産価格だけが膨らみ、
限られた「持てる者」だけが恩恵を受けている。

https://news.yahoo.co.jp/articles/a5882a37fa10871a454eba1eb52dcd61ae459ca6