スエズ運河で座礁した愛媛県の会社が所有する大型のコンテナ船は、29日に離礁し、スエズ運河も6日ぶりに通航が再開されました。運河の管理当局は、閉鎖にともなう当局側の損失が1日当たり1500万ドル、日本円で16億円以上にのぼるとみられると明らかにする一方、補償金については調査の結果を待って検討するとしています。
スエズ運河では、座礁して動けなくなっていた、愛媛県の正栄汽船が所有し、台湾の会社が運航する大型のコンテナ船が現地時間の29日午後、離礁に成功し、座礁から6日ぶりに運河の通航が再開されました。
運河を管理するスエズ運河庁は、29日に開いた会見で、運河の閉鎖にともなう運河庁側の損失が、1日当たり1200万ドルから1500万ドル、日本円で13億1600万円から16億4500万円程度にのぼるとみられると明らかにしました。
そのうえで、「補償や支払い責任については今後の調査によって決まるだろう」と述べ、事故原因などに関する調査結果を待って、補償金の請求について検討する考えを示しました。
事故の原因をめぐって、スエズ運河庁は、強風だけでなく、人的ミスや技術的なエラーなど複合的な要素が絡んで起きたとの見解を示し、この点についても、今後の調査結果で明らかになるとしています。
スエズ運河で座礁した大型のコンテナ船を所有する愛媛県の正栄汽船は、早ければ日本時間の30日の夜以降、船底を中心に損傷の状態を確認する検査を受けることを明らかにしました。
スエズ運河で座礁して動けなくなっていた今治市の正栄汽船が所有するコンテナ船「エバーギブン」は現地時間の29日午後、離礁に成功し、運河の中ほどにある湖に移動されています。
正栄汽船はNHKの取材に対し、早ければ日本時間の今夜以降、専門の検査員から船の状態について検査を受けることを明らかにしました。
検査ではダイバーも動員して船底を中心に写真や動画を撮影し座礁による損傷の程度を確認するということです。
そして、航行を再開できるかどうかの判断が一両日中に示される見通しだということです。
この事故をめぐっては、船や運河への損害のほか救出作業に伴う費用などが発生していますが、会社によりますと現時点ではまだ費用の請求はないということです。
会社は今後、事故原因を究明する調査に協力するとともに責任については保険会社と協議するなどして適切に対処したいとしています。

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