偏差値にこだわる日本人が知らない世界の常識
世界最高峰の大学は知識の相対評価で選ばない
2021/03/25 20:30
青木 唯有 : アクティブラーニング協会理事

私大入学者全体の半数以上が一般受験ではなく、総合型選抜(旧AO入試)や推薦入試で入学しているということをご存じでしょうか。
Netflixで大人気の韓国の熾烈な受験戦争を描くドラマ『SKYキャッスル』でも「学力絶対主義の時代は終わったの」というセリフがあるほど、総合型選抜が世界のスタンダードになりつつあります。
延べ3万人以上の高校生を難関大合格に導いてきた、総合型選抜のプロである青木唯有氏の著書『親が偏差値思考をやめれば、不思議なほどわが子は伸びる』では、親子で新時代入試を乗り越える方策をご紹介しています。本書から一部抜粋して、試し読みをお届けします。

入試で偏差値が問われるのは日本だけ
偏差値という言葉は、英語では「ディビエイション・スコア(Deviation score)」と言いますが、特殊な用語で、使うのはごく限られた人たちだけです。

「幻冬舎plus」(運営:株式会社 幻冬舎)の提供記事です
ある東大生が、海外で鼻高々と「自分は偏差値75だ」と言ったところ、「あなたは統計学者なのか?」と尋ねられたという笑い話があります。それぐらい、海外では知られていないばかりか、まったく重要視されていません。

もちろん、海外にも入試という制度は存在しますし、時代の先端を行くような企業への就職には、日本とは比べものにならないほど厳しい試験をくぐり抜けなくてはなりません。

では、海外の一流大学が何を基準に学生を選抜し、先端企業がどう社員を選んでいるかというと、それは「ホリスティック・レビュー(Holistic review)」によるものです。

ホリスティックとは、「全体的」「包括的」という意味ですが、日本語にするとしたら「総合評価」という訳が正しいでしょう。

つまりはハーバード大学やケンブリッジ大学などでは、日本で言うところの総合型選抜での選抜が主流なのです。


偏差値だけで優れた人財を見極められない
こうした学校では、志望者が今まで何をやってきたかという活動報告や、これから何を目指すのかといったエッセイを、志望する大学に主にオンラインで提出します。その内容によって合否を決定されるのが原則となっています。

当然のことながら、アメリカにも基礎学力を見る共通テストというものは存在します。SAT(Scholastic Assessment Test)という日本でいうところの大学入学共通テストのようなものがそれですが、ハーバード大学では2016年に、このSATを利用中止にしているのです。

つまりは世界最高峰の大学は、偏差値のような知識の相対評価での学生選抜など行っていません。

つづく
https://toyokeizai.net/articles/-/418526?display=b