カナダ・トロントで、ホームレスの人のための簡易的な住まい(シェルター)を製作・提供する大工の男性が注目を集めている。
クラウドファンディングで集めた資金は日本円で約2080万円以上、極小ながらも防寒とセキュリティ、
そして安全面に配慮した彼のプロジェクトは市民を中心に支持を集め、シェルターはトロント市内各所に設置されていった。
しかしトロント市は男性に対して活動の中止を求めており、裁判所に差止命令の発令を要請する事態に。一連の出来事とその背景を伝える。

◆コロナ禍、ホームレス状態の人が急増
 新型コロナウイルス感染拡大の影響によって失職し、経済的困窮から住まいを失いホームレス状態になってしまう人が世界的に増加している。
元から路上生活を送っていた人も、通常であれば冬の間はファストフード店や図書館などで暖をとることが可能だが、コロナ禍ではそれも叶わない。

 一時避難場所となるシェルターの数を増やしたり、ホテルを借り上げて仮設の住まいにするなどさまざまな対策をとる政府や自治体はあるものの十分とはいえない状況だ。

◆十分でない支援計画
 冬の間、氷点下の気温が続くカナダでは、この問題は大きな懸念事項である。
とくに大都市トロントではシェルターがほぼ常に満員状態で、行き場をなくして極寒の路上に出ざるをえない人も少なくなく、まさに生死に直結する問題である。

 トロント市は昨年10月、2020〜21年冬に向けて新しいシェルターと休憩可能なスペースを合わせて560人分追加する計画を発表した(blogTo、11月)。
これによって市内で利用可能なシェルタースペースの総数は6700となる予定だとした。
しかし専門家は、トロントでホームレス状態にある人は1万人以上いるとしており、市の計画では不十分だと批判していた。



ホームレスに住まい提供の大工、市から活動中止を求められる カナダ
https://newsphere.jp/national/20210305-2/