ASEAN諸国が最も信頼するパートナーは日本 シンガポールの研究所が報告
2021年3月3日 21時20分

シンガポールのシンクタンク「東南アジア研究所(ISEAS Yusof Ishak Institute)」のASEAN研究センター(ASC)が2月に発表した報告書によると、東南アジア諸国連合(ASEAN)のなかで、最も信頼できるパートナーは日本だと回答した国が多いことが明らかになった。また、アメリカに対する期待も上昇しているが、中国に対する期待は低下している。

調査はASEANに参加する10カ国の政府関係者や学者、ビジネスマン等を対象にオンラインで行われ、昨年11月から今年1月にかけて1032人の回答が得られた。調査では主要な大国(地域共同体)として日本、中国、アメリカ、イギリス、EUの5つが挙げられた。

日本は信頼できるパートナー

日本、中国、アメリカ、イギリス、EUのうち、ASEAN諸国にとって最も友好的で信頼できる戦略的パートナーとして選ばれたのは日本であり、信頼度は昨年の61.2%から67.1%に上昇した。次点はEUの51.0%で、アメリカは48.3%だった。いっぽう、中国に対する信頼はわずか15.6%であり、逆に信頼しないとの回答が63.0%に上った。

日本を信頼する理由として、「国際法を尊重し、擁護する責任ある利害関係者」であるとの回答が51.6%を占めた。この回答は、ブルネイ(77.3%)、シンガポール(73.1%)、マレーシア(59.4%)、ベトナム(57.3%)で大きな割合を占めた。また、「日本には豊富な経済的資源とグローバルなリーダーシップを提供する政治的意志がある」とした回答は23.6%だった。

日本の文化も求心力の源となっている。日本を信頼する理由として日本文化を選択した回答はインドネシアでは28.8%、フィリピンでは22.2%、ミャンマーでは21.8%を占めていた。

ASEAN諸国のうち、日本を最も信頼していると回答した国家はカンボジア(84.6%)、フィリピン(80.6%)、ミャンマー(76.3%)だった。

いっぽう、日本を「信頼しない」との回答は、日本の課題と読み替えることができる。否定的な理由のうち、「日本にはグローバルなリーダーシップの能力や政治的意思がない」が48.0%、「日本は内政と北東アジアの隣国(すなわち中国と韓国)との関係に気を取られてしまい、世界的な懸念事項や問題に集中することができない」が32.7%だった。