全文
https://digital.asahi.com/articles/ASP1071YFP1SUTIL013.html?_requesturl=articles/ASP1071YFP1SUTIL013.html&;pn=4

コロナ禍による学生の就職活動への悪影響が長期化しそうだ。旅行業や飲食業を中心に採用に慎重な企業が増え、1年前までの「売り手市場」は様変わりした。元の水準に戻るまで5年程度はかかるとの見方があり、学生は志望業種を広げるなどの対応を迫られている。

 国の調査によると、この春に卒業予定の大学生の就職内定率(昨年12月1日時点)は82・2%と前年同期より4・9ポイント下がった。文系・理系別では文系が5・6ポイント減の81・3%で落ち込みが大きい。

 この春に卒業予定の高校生を対象にした企業の求人数(昨年10月末時点)も、前年同期より20・7%少ない37万人だった。業種別では宿泊・飲食サービス業が45・9%減で最も大きく、生活関連サービス・娯楽業が33・4%減、製造業は26・1%減だった。

 影響はいつまで続くのか。リクルートワークス研究所が昨年10〜11月、企業に22年卒の大学生らの採用見通しを尋ねると、11年ぶりに「減る」が「増える」を上回った。「減る」が11・6%(前年同期7・6%)で、「増える」は7・7%(同11・5%)、「変わらない」は45・0%(同50・8%)だった。

 学生の就職活動に詳しいリアセックキャリア総合研究所の角方正幸所長は、影響は長引くとみる。バブル経済崩壊、リーマン・ショックの時も、その後に新卒求人の水準が元に戻るまで5年ほどかかっており、「今回も同じくらいの時間はかかる」と予測する。

 2000年代の就職氷河期世代の調査をした経験から「就職活動の序盤でつまずいて孤立感を深め、意欲を失ってしまうのが最もよくない。直接会えなければ電話でもいいので、常に同級生とのコミュニケーションをとり続けてもらいたい」と助言する。