アフリカでイスラム過激派がテロ活動を活発化している。中東の過激派組織「イスラム国」(IS)や
国際テロ組織アルカイダに関連する組織の犯行で、テロの主な舞台が中東から移っている。
企業の活動や、1日に始動したアフリカの自由貿易圏にも懸念要素となる。
仏エネルギー大手のトタルは2020年末、アフリカ東部モザンビークで進める天然ガス開発事業から一部の従業員を退避させた。
治安の悪化を受けた措置で、AFP通信によるとプロジェクト現場の近くで20年12月に少なくとも4回、武装集団の攻撃があった。
IS系組織の犯行とされるが、正体ははっきりしない。11月には北部のカボデルガド州で住民50人以上を斬首したと報じられた。
同国政府は、過激派の台頭で住民57万人が家を追われたとしている。
西アフリカのナイジェリアでは12月、男子寄宿学校が襲撃され多数の生徒が拉致された。
後に344人が解放されたが、イスラム過激派のボコ・ハラムが「非イスラム教的な行いをやめさせるためだ」と犯行を主張した。欧米式の教育を否定している。
サハラ砂漠の南の縁に当たるサヘル地域でもテロが相次ぐ。
ニジェールでは21年1月2日、イスラム過激派が2つの村を襲い住民100人を殺害したと報じられた。
マリ、ブルキナファソでも活動する「大サハラのイスラム国」(ISGS)の犯行との見方がある。
マリでは2日、過激派掃討の任務中のフランス兵2人が簡易爆発装置で殺害された。直前に仏兵3人が死亡した別のテロは、アルカイダ系組織が犯行を主張した。
イスラム過激派がアフリカで勢いを増したのは、中東で掃討され足場が縮小したのが大きな要因だ。
「ISはシリアとイラクで敗北後、イデオロギーを広げる代替地とみたアフリカに向かった」と
アラブ首長国連邦(UAE)のシンクタンク未来先端調査研究所は分析する。
IS系とアルカイダ系がアフリカで勢力争いをしているとも指摘した。
アフリカでイスラム過激派拡大 自由貿易圏に影
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR13BRX0T10C21A1000000