高橋:今もネットではネトウヨが跋扈しています。コチコチの愛国者の問題は日本だけではなく、ドイツでもネオナチの問題など各国で見られますね。

半藤:そういう意味では、日本人だけを責める必要がないくらいに、各国で問題になっています。

昭和4年にウォール街の大暴落がありました。あの時まではアメリカはそれまでの世界のリーダーとしての役割、例えば国際連盟を作ったり、パリ不戦条約を作ったりして世界のトップを走っていた。

このウォール街の暴落をきっかけに、フーバー米大統領はアメリカオンリー、アメリカファーストに舵を切ったんです。ヨーロッパも自国ファーストになり、追随した。どの国も自国本位になった。同じことが今、現象として起きています。歴史は繰り返すのかと言いたくなりますね。

高橋:本の中で「天災は忘れたころにやってくる」との言葉がありました。やはり3世代を越えると、みんな忘れてしまうのでしょうか。

半藤:人は忘れる。そこで「人間は誰も歴史に学ばないというのが、最大の歴史の教訓である」という言葉が生まれたと思います。

今は、昭和4年後の満州事変前の時代によく似ているなと思わないでもないです。世界政治全体を見て、流れがよく似ているなと思います。あの時はヒトラーとかスターリンという人物が出てきた。スターリンが天下を取ったのは大正15年の昭和元年です。ヒトラーが昭和8年。今は北朝鮮の金正恩が出てきた。習近平も何を考えているのかわからない。もちろんトランプという訳のわからない大統領が出てきた。万事にお先真っ暗です。

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