バイデン氏、聖書の書名読めず「炎上」 報道しない米主要メディアに批判の声
2020年12月10日22時45分 記者 : 井手北斗 印刷

熱心なカトリック信者として報道されていた前米副大統領のジョー・バイデン氏が11月26日、収穫感謝祭のスピーチ(英語)で聖書を引用する際、詩編に関わる単語の発音を2度にわたって間違えたことで、ソーシャルメディア上で「炎上」状態となった。保守派キリスト者からは、バイデン氏が有名な聖書の書名を知らなかったのではないかと疑う声も上がっている。

2016年の米大統領選では、当時大統領候補だったドナルド・トランプ氏が聖書の書名を読み間違えたとして批判されたことがあり、民主党寄りの主要メディアは執拗に批判的な報道をしていた。しかし、これらの主要メディアは今回、バイデン氏の間違いについてはまったく報じておらず、ダブルスタンダードだと批判する声が出ている。

「詩編記者」ではなく「手相占い師」?

バイデン氏が発音を間違えたのは、旧約聖書の詩編(Psalm)の執筆者を意味する Psalmist という単語。このうち「P」は無音となり、Psalm は「サーム」、Psalmist は「サーミスト」と発音するが、バイデン氏は「S」を無音とし、2度にわたって「パーミスト」と発音した。また「パーミスト」と発音した場合、手相占い師を意味する Palmist となってしまい、聖書は占いを禁止していることから、さらに大きな間違いになってしまう。

この間違いについて、保守系メディア「ニュースマックス」の司会者ハウイー・カー氏はツイッター(英語)に、「『熱心なカトリック信者』であるジョー・バイデン氏は、サーミストの黙字は『S』ではなく『P』であることをご存じでない」と投稿。この投稿は、引用ツイートも含め1万回以上もリツイートされた。

ヒューストン・バプテスト大学で新約聖書学を教えるロバート・A・J・ギャニオン教授も、この間違いをツイッター(英語)で指摘。キリスト教テレビ番組「ライフ・トゥデイ」の司会者ジェームス・ロビンソン氏はツイッター(英語)で、「1回ならミスです。私たちは皆、ミスをすることはあるでしょう。2回はどうしようもない。自分が何について話しているのか知らないという意味になります」と語った。

カトリック・ヘラルドのダミアン・トンプソン編集長はツイッター(英語)で、「これは宗教的な無知ではないのです。彼は全生涯にわたってミサに通っているのです。この哀れな男性は認知症なのです」と皮肉を交えてコメントした。バイデン氏はカトリック信者ではあるが、カトリック教会が反対している人工妊娠中絶の権利を推進する立場にあることから、カトリック教会内でも否定的な見方をする人は一定数いる。

福音派のクリスチャニティー・トゥデイが発行する牧師向け雑誌「リーダーシップ・ジャーナル」の編集者であるドリュー・ディック氏はツイッター(英語)で、「これが彼にとっての『第2コリント』の瞬間だ」と述べた。