韓国でのいわゆる徴用工訴訟で賠償を命じられ、差し押さえられた日本製鉄(旧新日鉄住金)の韓国内の資産をめぐり、資産売却に関連する書類が
同社に届いたとみなす「公示送達」の効力が9日に発生する。公示送達の手続きをとった大邱(テグ)地裁では資産の売却命令を出すことが可能となる。

 大邱地裁浦項(ポハン)支部は10月8日に日本製鉄の意見を聞く「審問書」などについての新たな公示送達を、ホームページに掲示するかたちで行った。
一定期間掲示されたことで今回、送達したとみなされる。地裁支部は6月にも資産差し押さえの決定書を公示送達し、8月にいったん効力が発生したが、
日本製鉄は差し押さえを不服として即時抗告した。同社は関連書類の受け取りを拒み続けてきた。

 今回の効力発生によって、資産の鑑定などを経て裁判所は原告が求めている売却命令への手続きに入ることができる。
ただ、売却命令が出たとしても、資産の現金化には売却命令書の日本製鉄側への送達が必要となる。
同社が再び受け取りを拒否したり、即時抗告をしたりすれば、資産の現金化はさらに長期化する見通しだ。

 韓国最高裁が賠償を命じた2018年10月の判決について、日本政府は「請求権問題の『完全かつ最終的』な解決を定めた(1965年の)
日韓請求権協定に反している」と主張し続けている。しかし、韓国政府は「司法判断を尊重する」との立場だ。

https://www.sankei.com/smp/world/news/201208/wor2012080025-s1.html