【ロンドン=佐竹実】英政府は30日、次世代通信規格「5G」から中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)を排除する行程表を発表した。同社製の機器の使用に新たな制限を設けるほか、インフラの調達先の多様化のために2億5千万ポンド(約350億円)を投じる。NECの技術を使う実証実験も対象で、21年の実用化を目指す。

英政府は7月、2027年までにファーウェイを排除することを決めた。基地局(アンテナ)などを使用する通信会社は他社製品に取り換える必要がある。21年以降はファーウェイ製品の新規購入も禁止した。今回新たに、21年9月末からは購入した製品の取り付けも禁止する。通信会社が20年中に機器を多めに購入して、後から取り付けることをできなくする。

英政府はファーウェイ以外の選択肢を増やすために2億5千万ポンドを投じ、研究施設も立ち上げる。NECとは「Open RAN(オープンラン)」と呼ばれる技術を使った実証実験を行う。NECは11月、英国内に5G拠点を新設しており、この技術を世界展開する。

オープンランの技術を使えば、通信会社はインフラを他社と共有できるため、コスト削減につながる。ボーダフォンUKは「官民協業による供給網の多様化は、通信業界にとって前向きな取り組みだ」としている。

英議会下院は、5Gのセキュリティーを強化する法案を審議中だ。政府提出の同法案は通信会社がファーウェイを排除しなかった場合、最大で売上高の10分の1の罰金を科す厳しい内容で、通信網の安全性を優先する姿勢を明確にしている。

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