英アストラゼネカのワクチン、有効性90%にも 深刻な副作用なし

[ロンドン 23日 ロイター] - 英製薬大手アストラゼネカは23日、英オックスフォード大学と共同開発している新型コロナウイルスワクチンの臨床試験(治験)の中間結果を発表し、深刻な副作用を起こさず感染を予防できる有効率が約90%だと明らかにした。

また、年内に最大2億回分のワクチンを製造すると表明。競合の米ファイザーは年内に5000万回分の製造を目指すとしており、アストラゼネカの目標はその4倍に相当する。来年3月末までには世界で7億回分のワクチン供給を目指す。

英国とブラジルで実施している後期治験データによると、まず半分の量を投与し、少なくとも1カ月の間隔を置いて全量投与した場合の有効率が90%だった。

また、少なくとも1カ月の間隔を置いて計画通りに全量を2回投与した場合の有効率は62%。2種類の投与方式を合わせた分析では平均70%だった。いずれの結果も統計的に有意だとしている。

アストラゼネカのワクチン開発関係者は、1回目に半分の量を投与したのは「セレンディピティー(偶然の幸運)」だったと指摘。4月末ごろに英国内の治験参加者に投与した際、疲労感や頭痛、腕の痛みなどの副作用が予想よりも軽度だったことに気付き、調べたところ投与量が計画の半分だったことが分かったが、そのまま治験を継続し、予定された間隔をおいた後に全量を投与したという。

ワクチンの安全性について深刻な事象は確認されなかったとしている。

アストラゼネカのパスカル・ソリオ最高経営責任者(CEO)は声明で「このワクチンの効果と安全性は、COVID−19に対し高い効果があり、現下の公衆衛生の緊急事態にただちに影響を及ぼすであろうことを確認するものである」と述べた。

ジョンソン英首相は「信じられないほど心躍るニュースだ」と指摘。議会で「新型コロナからの解放に向け、ワクチンがかつてないほど近づいており、パンデミック(世界的大流行)に終わりがないわけではないことを強調している」と評価した。

アストラゼネカは今後、各国の医薬品当局に治験データを提出する準備に入る。また世界保健機関(WHO)の緊急使用医薬品指定も目指す。これと並行して中間データの完全な分析を、査読を行う医学誌に送る。

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