エアコンがない京都と滋賀の朝鮮学校のため、設置費の支援を募ったクラウドファンディング(CF)が今夏行われ、支援の輪がインターネット上で大きく広がった。
全国44都道府県のほか、韓国からも支援が寄せられ、寄付は約千人、計800万円を超える結果に。
学校に待望のエアコンが完備され、児童は「たくさん応援してもらってびっくり。勉強を頑張りたい」と喜んでいる。

■目標額300万円をはるかに上回る支援が

CFは、運営資金が厳しいためにエアコンがない京都朝鮮第二初級学校(京都市右京区)と滋賀朝鮮初級学校(大津市)の設置工事費を工面するため、朝鮮学校を支援する市民団体「こっぽんおり」(下京区)が7月15日〜8月31日に実施。
朝鮮学校のエアコン設置には公的な支援がなく、ネット上で「子どもたちに日本の公立小と同じ環境を」と呼び掛けた。

目標額は300万円だったが、新聞などで紹介されると、8月上旬に目標額を突破。「ネットに疎くCFを使えない」という高齢者が直接来校し、寄付を手渡すこともあった。韓国からも2団体59人が協力した。

その結果、1077人から計817万6760円が寄せられた。都道府県別は京都が最多で、東京、大阪、神奈川、兵庫、滋賀も多かった。
年代別では40代、50代、30代の順に多く、10代からの寄付もあった。

9月までに、京都朝鮮第二初級学校に9台、滋賀朝鮮初級学校に8台が設置され、全学年の教室に完備された。
寄付金は、京滋に計4校ある朝鮮学校の新型コロナ感染防止対策にも活用された。

■児童「テストの点も上がる」と喜び

11月上旬、京都朝鮮第二初級学校で贈呈式があり、こっぽんおり関係者が学校側に寄付を手渡した。
続いて、学校側がこっぽんおり関係者に、全校児童が「ありがとう」などと寄せ書きした色紙3枚を贈った。

同校では、クーラーがない夏は熱中症で体調を崩す児童がいた。冬も、小さな暖房器具の周りに児童が集まる状況だったといい、校長は「本当に感謝。CFで朝鮮学校自体も知ってもらえ、ピンチがチャンスになった」と話した。

同校6年の男児(12)は「夏は暑すぎて勉強に集中できず、クーラーがついて本当にうれしい。応援してくれた皆さんの期待に応えたい。テストの点も上がる」と力強く話すと、こっぽんおり関係者や校長から「もう点数が悪いことの言い訳ができないな」と笑いが起こった。

https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/415881