昨年10月の台風19号で、川崎・武蔵小杉の47階建てタワーマンション「パークシティ武蔵小杉ステーションフォレストタワー」(川崎市中原区)は浸水による全棟停電に見舞われた。
電気も水道もエレベーターも長期間使えず、「まるで陸の孤島だった」と振り返る居住者たち。被災の実態を語り、同じような被害を防ぐノウハウの共有を呼びかけている。(石川修巳)

 台風が上陸した12日夜、増水した多摩川の泥水が下水道管を逆流し、武蔵小杉駅周辺を水浸しにした。フォレストタワーも電気設備がある地下3階が浸水。
真下の地下4階にゲリラ豪雨に備えた雨水貯留槽があり、建物周辺の雨水升を通じて大量の水が流入した。下水道に排出するポンプの能力を超え、地下3階に水があふれた。

◆「数日間は復旧ムリ」

 「電気・水道の復旧は当分の間できません。※数日間はムリです」。一夜明けた13日朝、マンション掲示板の手書きの告知が、異常事態を告げていた。
管理組合によると、居住者は643世帯、1500〜1800人。ある住民は「情報源は充電が残ったスマートフォンのみ。絶望的な気持ちになった」と述懐する。

 管理組合の理事長経験があるデザイナー本平基さん(42)は、停電で自宅の仕事場も生活の場も使えなくなり、約2週間の避難生活を余儀なくされた。
「こんな浸水リスクがあるとは知らなかったし、災害といえば地震しか考えていなかった」と語る。

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/60914