7月より放送中のTBS日曜劇場『半沢直樹』第2シーズンが、怪物的な人気を集めている。第8話の放送延期にともない、9月6日はトーク特番『生放送!!半沢直樹の恩返し』が急きょ生放送されたが、なんとこちらは平均世帯視聴率22.2%を獲得(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。通常放送に負けず劣らずの記録を叩き出し、改めて世間に『半沢直樹』旋風の勢いを見せつけた。
第2シーズンでは、国土交通大臣・白井亜希子役を演じる江口のりこがブレイク中。また、東海地方の演劇界では知られた存在である佃典彦も曾根崎役での“土下座退室”で爪痕を残した。佃の演技力については、常務・大和田暁役の香川照之も「一日中あの長いシーンを何度も繰り返し撮影したのに、ただのひと言もセリフを間違えませんでした」(8月23日のTwitter投稿より)と称賛している。
これまでの観劇回数は4000回を超え、『マツコの知らない世界』(TBS系)に出演経験もある演劇ライターの上村由紀子氏は、『半沢直樹』のキャスティングに大きな意義を感じている。
「TBS日曜劇場の制作スタッフは、テレビの世界であまり知られていない実力派の俳優を積極的に登用し、『ほら、こんなにすごい人がいるんですよ』と提示することに価値を見出している気がします。『半沢直樹』第1シーズンでは、映画を中心に活動していた滝藤賢一とミュージカル界の貴公子・石丸幹二がその枠。2人とも『半沢直樹』を機にテレビの世界でも一気にメジャーな存在になりました。
放送中の『半沢直樹』帝国航空編では『オペラ座の怪人』『レ・ミゼラブル』『キャッツ』などの大型ミュージカルで大役を担った鈴木壮麻を“グレートキャプテン”役に起用したり、中部地方の演劇界で有名な佃典彦を堺雅人と香川照之に歌舞伎調で詰めさせたりと、さらに“知る人ぞ知る”存在にスポットを当てています」
上村氏によると、『半沢直樹』は演劇好きならニヤリとする小ネタも満載らしい。
「よく似ていると言われる山西惇と八十田勇一を兄弟役にしたり、かつて『夢の遊眠社』でともに活動した段田安則と浅野和之を共演させたり、『劇団東京乾電池』で師弟関係にあたる柄本明と江口のりこの関係性をそのままドラマの設定に生かしたりと、ツウ好みのキャスティングも見どころです。今後どんな隠し玉が出てくるのか、目が離せません」(上村氏)
挑戦できる立場だからこそ、“発掘”に励む――。そんな責任感が『半沢直樹』のキャスティングから感じられるようだ。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200912-00000010-pseven-ent