しんと静まるオフィス、通勤・通学の電車の中、意中の人とのデート……。そんなときに、「グゥー」「グルグル」「ギュルルル」と急におなかが鳴ってしまい、恥ずかしい思いをしたことはありませんか。
とりわけ女性にとっては気になるこの問題、単なる空腹のシグナルなどではなく、病気が潜んでいる可能性もあるといいます。なぜ、おなかが鳴るのか、音を抑える方法はあるのか、大腸肛門病センター高野病院(熊本市)の高野正太副院長に聞きました。

―――おなかが「グゥー」「ギュルルル」などと、急に鳴ることがあります。自分でもびっくりするくらい大きな音のことも。

腸が内容物を先に先に送ろうと収縮する「蠕動(ぜんどう)運動」によって、狭まった腸管内をガスなどが通過するときに生じると言われています。
おなかの鳴る音は、通過物の違いや腸管の狭さなどによって変化するようです。笛も、吹き込む空気の勢いや通る穴の大きさによって音が変わりますよね。

―――おなかが鳴るのは、何か病気の可能性がありますか?

正常な腸でもおなかは鳴りますので、それほど心配はありません。ただ、過敏性腸症候群の可能性はあります。
食事、生活習慣、ストレスなどの影響で、腸が過剰に動いたり、腸管内のガスが増加したりすることで鳴るのです。危険な病気ではありませんが、食欲がなくなるなど、生活の質を低下させます。

―――おなかが鳴るのを抑える方法はありますか?

腸管の動きを安定させ、腸内のガスの発生を抑えるために、腸内細菌のバランスを保つことが重要です。
納豆、漬物などの発酵食品や大豆食品、食物繊維の多い食品の摂取を心がけてください。乳酸菌飲料なども有効です。キウイなどの果物も腸内細菌を安定させます。

ところが、こうした腸内細菌に良いと言われている食品を食べると、逆におなかが張るという人がいます。そこで最近、注目されているのが「FODMAP(フォドマップ)食品」です。
「発酵性(Fermentable)」「オリゴ糖(Oligosaccharides)」「二糖類(Disaccharides)」
「単糖類(Monosaccharides)」「ポリオール(Polyols)」
の五つの頭文字を合わせ、消化・吸収されにくい発酵性の糖類を示しています。

腸内環境は人それぞれです。腸内環境によっては、FODMAP食品が腸内細菌で活発に発酵されて、ガスを発生し、腹部膨満の原因となってしまうのです。

腹部膨満を来しやすい食品を「高FODMAP食品」、少ないものを「低FODMAP食品」と呼びます。膨満感を訴える患者さんには、高FODMAP食品を控えてもらい、低FODMAP食を4週間取ってもらいます。
腹部膨満が軽減したところで、高FODMAP食品を一品ずつ試して自分に合った食品を探していきます。

https://news.yahoo.co.jp/articles/d6b2d00b336ed24118f187d4aa321e364b22792f