菅、岸田氏実績アピール 石破氏は政権批判にじます―自民総裁選

 自民党総裁選に立候補した石破茂元幹事長、菅義偉官房長官、岸田文雄政調会長は8日の立会演説会で、日本が直面する重要課題である新型コロナウイルス対策や経済立て直しに力点を置いた。
安倍政権で要職を務めた菅、岸田両氏が自身の実績をアピールしたのに対し、石破氏は今の政権の在り方に対する批判を強くにじませた。

 菅氏は、安倍晋三首相の辞任表明を受けて出馬を決意するに至った経緯を説明。「首相が進めてきた取り組みをしっかり継承し、前に進めたい」と政権の継承を前面に押し出した。
個別政策ではコロナ対策を「今取り組むべき最優先の課題だ」と真っ先に取り上げ、「何としても爆発的な感染拡大は阻止し、国民の命と健康を守る。その上で社会経済活動と両立を図っていきたい」と強調。持ち時間の20分を1分ほど残して切り上げた。

 岸田氏は4分近くを経済政策に割いた。「アベノミクスによって間違いなく大きな経済の成果が得られた」と高く評価。同時に、安倍政権下で拡大したと指摘される格差の是正に向け、所得分配に取り組む必要性を訴えた。
コロナ禍で打撃を受けた経済再生のため「思い切った財政措置も引き続き考えていかなければいけない」と語った。

 石破氏は演説時間の半分を、政治を志した原点や戦時下で危機にひんした民主主義に関する歴史認識の紹介に充てた。コロナ対応について「医療か経済か二者択一ではない。守らねばならないのは社会だ」と力説。
政府・与党が否定的な特措法の早期改正も訴えた。経済政策に関しては「所得の低い方々の雇用と所得を増やしていかなければならない」と語った。

 安倍政権での実績をアピールする場面もあった。菅氏は、携帯電話料金の引き下げなど自らが主導した改革を誇示。
岸田氏は「日本の歴史にとって特筆すべき時代だ」と安倍政権を持ち上げ、外相、政調会長として政権を支えたことに言及した。
一方、石破氏は森友・加計問題などで説明を尽くしていないとの政府への批判を念頭に、「自民党は政府を謙虚に機能させる、そういう政党でなければならない」と当てこすった。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2020090801034&;g=pol