廃棄されていたことが6日、関係者への取材で分かった。同社は「学校側と合意していた」としているが、石膏ボードは一定の条件下で有毒ガスが発生する可能性があり、環境省は廃棄物処理法違反(不法投棄)の恐れがあるとしている。

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 壁の隙間から石膏ボードが見つかったのは、前田建設が平成14〜16年に施工した石川県輪島市にある日本航空高等学校石川と日本航空大学校の学生寮や校舎。東京都港区の建築コンサルタント会社「ウトロン」が今年4月、建物の水漏れ対策工事で壁の一部を取り外した際、隙間から大量の石膏ボードの切れ端を発見した。

 石膏ボードは水分などを含むと硫化水素を発生させる恐れがあり、産業廃棄物として管理型処分場での処分が必要とされる。

前田建設は学園側に対し、石膏ボードが工事の過程で出たものだと認めた上で、「工期短縮のため協議し、学園側の同意を得てなされた処置」と説明。一方で同学園は「同意したかについては調査中」としている。

 ウトロンによると、前田建設側は発見された分の石膏ボードの除去や壁の修繕工事を行うと学園側に申し出たが、学園側は信用できないとして拒否し、代わりにウトロンに修繕工事を依頼した。

 建物の壁には今も相当量の石膏ボードの端材が含まれているとみられ、同学園と前田建設は国土交通省に設置された裁判外紛争処理機関「中央建設工事紛争審査会」を通じて協議を続けている。前田建設は「中紛審で協議している案件のため取材には応じられない」としている。

 環境省の担当者は「廃棄物を適切に処理する責任は施工・監理者にある。仮に(壁に石膏ボードを廃棄するという)合意があったとしても、適切に処理されなければ行政指導の対象になる」と指摘している。