韓国政府を相手取った投資家・国家間訴訟(ISD)で勝訴したイラン・ダヤニ家が韓国政府の契約金返還遅延を理由に韓国石油公社の英有力子会社であるダナ・ペトロリアムの株式の仮差し押さえを申し立てたことが分かった。
ISDは投資国政府の過失で被害を受けた企業が起こす国際訴訟を指す。ダヤニ家が韓国政府に返還を求めている契約金は合計756億ウォン(約67億5000万円)であり、ダナの時価総額は1兆6000億ウォン程度となっている。

韓国政府と金融界によると、ダヤニ家側は英高裁に対し、韓国石油公社が保有するダナ・ペトロリアムの全株式の仮差し押さえを申し立てた。
石油公社も8月14日、ダヤニ家から仮差し押さえの事実について通知を受けたという。

ダナは石油公社が世界的金融危機当時の2011年、3兆4000億ウォンで全株式を取得した子会社だ。
資金難に苦しむ石油公社は今年初め、ダナが開発している北海ガス田の権益を売却し、3億米ドルを調達するなど、買収後もダナを活用してきた。ところが、韓国政府が国際訴訟で敗れたことから、イラン企業によってダナの経営権が制約を受ける状況となった。

<中略>

ダヤニ家はイラン最大の家電メーカー、エンテクハブを保有しており、通貨危機で解体された大宇グループの系列企業、大宇エレクトロニクスの買収で優先交渉対象者に選ばれ、2010年に契約金578億ウォンを支払った。

ところが、エンテクハブは大宇エレクトロニクスの債権団に売却価格を1500億ウォン引き下げるよう要求し、契約を履行しなかったことから、債権団は契約を破棄し、契約金を没収した。
これに対し、ダヤニ家は15年、国連の国際商取引法委員会仲裁判定部にISDを起こし、18年6月に勝訴した。
韓国政府がエンテクハブの契約を破棄し、契約金を没収したことは「韓国とイランの投資者を同等に扱う」とする両国間の投資保障協定に反するというのが理由だった。
これについて、韓国政府は英裁判所に控訴したが、昨年12月に敗訴が確定した。韓国政府がISDで敗訴したのは初めてだった。

ダナ・ペトロリアム株式の仮差し押さえは10月5日に英高等商事裁判所が最終決定を下す。
韓国政府は判決7日前までに反対意見を提出しなければならない。韓国政府で今回の訴訟を担当する金融委員会は「敗訴が確定した状況で、取り急ぎ契約金を支払い終結させたい。

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