【経済インサイド】マイナポイント、クレカ会社が不参加表明 背景に政府との溝
2020.8.29 06:00

 不運だったのがキャッシュレス還元事業の時期と、ペイペイやメルペイなどQRコード決済事業者の覇権争いの時期が重なったことだ。QRコード決済はスマートフォンの普及とともに平成30年ごろからサービスを提供する事業者が増加。各社は、生き残りをかけ決済金額の20%をポイント還元するなど、利益度外視のキャンペーンを展開した。

国のポイント還元に加えて、事業者からも多額のポイントが得られることから、多くの人がQRコード決済に飛びついた。0.5〜1%程度のポイントしか付与していないカード会社との差は歴然で、フィンテック企業のインフキュリオン(東京)が行った調査でも、今年3月までの1年間で、クレジットカードの利用者は横ばいだったのに対し、QRコード決済の利用は約4倍に急増した。

 カード会社としても、こうした事態は予想していた。しかも、キャッシュレス還元事業に参加するには、数千万円規模のシステム改修費用もかかる。

 「一時的な事業のためにそれだけのコストはかけられない」(大手カード会社)。キャッシュレス還元事業には、当初から後ろ向きな声も少なくなかった。それでも政府が協力要請を行ったこともあり、事業開始までには主要なカード会社はすべて参加を表明した。

 しかし、キャッシュレス還元終了間際の6月、カード会社には思わぬ仕打ちが待っていた。政府が決済手数料情報を開示する考えを示したのだ。

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