スマホの「頭金」は頭金じゃない? 総務省、表示見直し要請へ
8/25(火) 18:21
毎日新聞

 総務省は、携帯電話ショップがスマートフォン(スマホ)などの端末を販売する際に使われている「頭金」という表示の見直しを求める検討に入った。実際は端末本体の価格とは別に上乗せした料金にもかかわらず、価格の一部を支払う一般的な意味での頭金と誤解されているケースが多いためだ。事業者側に慣例の変更を求めて携帯電話料金の透明化を促す。

 総務省の有識者会議で議論しており、週内に頭金の表示見直しを求める方針を確認。9月に具体的な対応策を取りまとめる。

 大手携帯電話会社や総務省などによると、店頭での端末の販売価格は販売代理店であるショップが独自に設定。携帯電話会社が公表している端末本体の価格より5000〜1万数千円程度高く設定されることが多い。上乗せされた金額は事実上、ショップの販売手数料の位置付けだが「頭金」と表示されるケースも目立つという。

 一般的な意味での頭金は分割払いの際に最初に支払うまとまった代金のことを指す。このため、携帯電話ショップで「頭金」を支払った消費者から「携帯電話を機種変更したら、頭金を余計に取られた」「分割払い総額から頭金分の金額が減額されていない」といった苦情が国民生活センターなどに寄せられていた。

 有識者会議のこれまでの議論では、メンバーから「『頭金』を正確に理解している消費者は本当に少ないのではないか」「別に手数料も支払っており、二重取りになっているのではないかという懸念もある」など早急な改善を求める意見が相次いでいた。

 また、携帯電話会社がショップ側に提供するポスターなどのひな型でも「頭金0円」といった表現が用いられており、「利用者の混乱を招いている」として広告表示を含めて見直しを促す。事業者側は「販売時の表現は代理店(ショップ)の自由」という立場だが、総務省で見直しの方向性が定まれば改善策を進める方針だ。

 これまでは、同じ端末でもショップによって小売価格が異なる状態について、利用者にその事実が十分に浸透していなかった。ある消費者団体の幹部は「これまでの表示方法では、スマホの価格が本当はいくらなのか分かりにくかった。『頭金』の位置付けが明確化されて手数料の存在が意識されることで、(手数料のかからない)携帯電話会社のオンライン販売での購入が増えるなど、購入方法が多様化する可能性がある」と指摘している。【本橋敦子】
https://news.yahoo.co.jp/articles/10a38f98abbc793c7900b772f5d92500368436ce