米国と中国、譲らぬスパイの攻防――中国がCIA協力者を多数殺害も

 米国のミサイル技術に関する機密情報を中国側に渡したスパイ容疑で、米中央情報局(CIA)元職員の中国系米国人が米当局に逮捕された。中国は数十年前から米国の最先端技術を標的にスパイ活動を活発化させ、米国も対抗してきた。ただ2010年代初めに中国での情報源が壊滅的な状況に陥り、苦境に立たされているようだ。

◇FBI覆面捜査官が摘発
 米司法省は17日、CIA元職員のアレクサンダー・マー容疑者(67)をスパイ容疑で14日に逮捕したと発表した。連邦捜査局(FBI)の関係先で働いていた際、誘導ミサイル関連の情報を不正に入手して中国側に伝えた疑いだった。
 司法省資料や米メディアの報道を総合すると、マー容疑者は1952年に香港で生まれ、68年にハワイに移って米国に帰化した。82年にCIA職員となり、米政府の秘密保持契約に署名して機密情報の使用を許可された。89年にはCIAを退職し、上海に移住した。
 マー容疑者による情報漏洩は2001年3月に始まった。香港で会った中国側の情報関係者に、CIAの要員▽作戦▽通信の秘匿方法――などに関する情報を流し、見返りに現金5万ドル(527万円ほど)を受け取った。
 その年に再びハワイに移り住み、中国側に提供する米政府の機密情報にアクセスするため、04年にはFBIのホノルル事務所に「中国語文書の確認・翻訳を担当する契約職員」として潜り込んだ。その後の6年間、定期的に「SECRET」に分類された文書をコピーしたり写真撮影したりした。頻繁に訪中してデータを中国側に手渡し、数千ドルの現金や新品のゴルフクラブなどを受け取っていたという。
 マー容疑者は19年春、「中国側情報関係者」を名乗る人物と接触した際、過去のスパイ活動の実績を明らかにし、「これからも中国側の協力者として働きたい」と申し出た。
その時に“中国支援の謝礼”名目で現金2000ドル(21万円ほど)を受け取ったという。別の日にも、この人物から資金をもらって「祖国の成功を望んでいる」と語ったという。
 この人物が、実はFBIの覆面捜査官だったことから、マー容疑者は逮捕されることになった。

続く
https://news.yahoo.co.jp/byline/nishiokashoji/20200821-00194316/