差別されても 障害者の私がネガティブ投稿しないわけ

「車椅子ではなく、ストレッチャーで寝たままの状態の人が入居されると、
大家さんはそれ自体が嫌なんですよ」

新しいオフィスを探しているとき、不動産会社の担当者に思いがけないこと
を言われてしまった。厳密には大家からの伝言なので担当者は悪くないのだが…。

正直、気持ちは沈んだ。

ただそれ以上に、スタッフたちにどう説明しようかと悩んだ。しかし私は
翌日、みんなに報告しなければならないと思い、連絡を入れた。一緒に内見に
行ったスタッフや、新しいオフィスを楽しみにしていた他のスタッフにもいき
さつを説明した。

怒る気にならなかったわけは

彼らの反応はそれぞれ違ったが、一番多かった意見は大家に対する不平不満
だった。なかには、「そんな理由で断るなんておかしいじゃないですか」と私
以上に怒った人もいた。また、知り合いの障害者の親御さんからは、障害者差
別解消法で訴えるべきだという意見もでた。ただ、私はそんな気にはなれな
かった。

子供のころから、こんなことはたびたびあった。

繰り返しになるが、私は寝たきりの生活を送っている。初対面の人の多くは、
私のことを意思疎通が取れない人間だと思っていたし、話しかけても意味がな
いと思っていたに違いない。仮に話しかけられても、幼児扱いした口調で話し
方をされるのは常だった。

もちろん今では「寝たきり社長」と称し、積極的に活動させてもらっているの
で、社会で対等に扱ってもらえることは増えてきている。だが、それでもいま
だに年配の経営者や政治家の方と接する際には、かつてと変わらない対応を
されることがある。人によっては、会社経営も私ではなく、私の親がしている
と思っているほどだ。

https://www.asahi.com/articles/ASN864339N86UBQU001.html