校舎にクーラーが完備されていない京都府と滋賀県の朝鮮学校を支援するため、ネット上で広く整備費用を募るクラウドファンディング(CF)が始まった。
朝鮮学校の空調設置に対する公的支援はなく、CFの主催団体は「日本の公立校の子と同じように健康が守られる学習環境を」と協力を呼び掛けている。

京都と滋賀には、日本の小中高校にあたる朝鮮学校が計4校あるが、京都朝鮮第二初級学校(京都市右京区)と滋賀朝鮮初級学校(大津市)は、今夏まで教室に冷房がなかった。第二初級学校では昨夏、扇風機などで猛暑をしのごうとしたが、熱中症とみられる症状で体調を崩す児童がいたという。
ちなみに、京都市と大津市の公立小の教室はクーラーが100%設置されている。

今夏は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、児童はマスクを着用し、例年なら夏休みにあたる期間でも一部で授業を行うことになった。このため、両校は児童の健康面を考慮して空調整備に着手し、一部教室にクーラーを設置した。
しかし、ほぼ全額を寄付や学費に頼る学校の運営資金では、2校で総額約600万円に上る整備費用のすべてをまかなえないという。

そこで、京都と滋賀の朝鮮学校を支援する市民団体「こっぽんおり」(京都市下京区)が、CFを活用することにした。8月31日まで目標額300万円を募る。寄せられた資金は、空調整備のほか、学校現場でのコロナ感染防止対策にも使う。

第二初級学校の金栄周(キムヨンジュ)校長は「何の心配もない学びの場で子どもたちに育ってほしい」と話す。
こっぽんおり共同代表の板垣竜太・同志社大教授は「空調がないことで、暑さやコロナのダメージが公私立校と比べて不平等になってしまう。子どもたちに自身の境遇を『仕方ない』と思わせないためにも、市民からの広い協力で格差を是正できれば」と参加を呼び掛ける。

https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/324761