アップル、iPhoneのインド生産を本格開始か
7/28(火) 12:01
JBpress

 米アップルがスマートフォン「iPhone」の現行モデルの生産をインドで始めたと、米テッククランチが報じた。

■ インドで生産するメリット

 アップルの取引先である台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業傘下の電子機器受託製造サービス(EMS)大手、富士康科技集団(フォックスコン)がチェンマイ近くに持つ工場で、「iPhone 11」シリーズの組立を開始したと、関係者は話している。

 現在の生産能力は限定的で、店頭に並ぶインド製iPhone 11は少量にとどまる。しかし、中国への依存を低減させたいアップルは、インド生産の拡大を狙っているという。

 また、インドに部品を輸入して現地で組み立てて販売すれば、完成品を輸入するのに比べ、関税を2割低く抑えられる。こうして現地生産を増やすことで完成品の輸入時にかかるコストを抑えることができるほか、直営店「Apple Store」の同国でのオープンの条件となっている地場企業からの調達比率を高めることができる。さらに、米中貿易摩擦の影響を軽減することもできると指摘されている。

■ iPhoneの生産が困難な理由

 iPhoneのインド生産については、これまで前述したフォックスコンのほか、EMS大手である台湾の緯創資通(ウィストロン)がベンガルールの工場などで組立業務を行っていると報じられていた。

 だが、こうしたEMS大手がインドで生産していたのは、いずれも「iPhone SE」「iPhone 6s」「iPhone 7」「iPhone XR」といった1世代以上前の旧モデル。

 アップルはこれまで、同国で現行モデルを生産できる取引先を持たなかった。その要因の1つには、同社の厳しい品質・安全基準があると関係者は話している。
 アップルにはこれら以外にも複数の取引先があるが、いずれも規制などの問題に直面している。一方で、米ブルームバーグによると、アップルのもう1社のパートナー企業である台湾・和碩聯合科技(ペガトロン)は、同社初のインド工場の建設に向けて準備を進めているという。

■ 2021年にインドで直営店オープンへ

 アップルのティム・クックCEO(最高経営責任者)は今年2月、カリフォルニア州クパチーノの本社屋で開催した株主総会で、2021年に同社初のインド直営店をオープンするという計画を明らかにした。この時同氏は、まず、年内にネットによる自社製品の販売を開始し、2021年に自社ブランドの店舗を開設すると述べていた。「アップルブランドの店舗をほかの誰かに経営してもらいたくない」とも述べており、直営店の展開で認知度向上を図り、販売を強化したい考えだ。