世間にインパクトを与えた札幌・ススキノの「キャバクラ」で発生したクラスター。
客ひとりを含む12人が感染し、そのほか多数の濃厚接触者にも感染の疑いがもたれるなど、道民に恐怖を与えている。
世間的には「また、キャバクラか」という声も大きそうだが、今回、筆者は実際の業態と世間が思うイメージのギャップに、いささかの関心をもった。
それは、クラスターが発生した店が「キスや密着があるキャバクラ」と報道されたことだ。
■大マスコミが伝えきれなかった事実
遊び好きの男性なら、「それって、キャバじゃなくおっパブじゃん!」と思ったことであろう。しかし、である。
風俗通が理屈をこねれば、ことススキノにおいてはキャバクラ=おっパブであって、当該店がキャバクラと報じられることは間違いではないのだ。
「じゃあ、(本当の)キャバクラは?」となるが、この場合、当地ではニュークラブという呼び方になる。まず、このローカルルールがややこしかった。
それとは別に週刊誌系やネット記事はともかく、天下の大マスコミ、新聞・テレビがおっパブの詳細を伝えることなどできなかったらしく、単に「キスや密着があるキャバクラ」と伝えた。
つまり、本来のキャバクラの姿とは違って報じられたことで、風俗などに関心がないフツーの人たちに、「キャバクラってキスや密着ができるの?」思わせてしまった可能性があるのだ。
いまひとつ、基本的なことだが、今回ネットニュースなどで“おっパブ”というワードを聞いた人のなかには、「そもそもおっパブとは?」というムキも少なくなかったのではないか。
いわゆるキャバクラとの最大の違いは、おっパブの場合、女性キャストは客により密着して接客をした上、1時間に数回程度の割合で“サービス”を行う。
地方によって、呼び名や過激さは変化するが、オーソドックスのものはキャストが上半身裸になり(あるいは、はだけた状態)、客の男性におっぱいを揉ませる。
店にもよるが、そのときキスも可能であり、なかにはおっぱいを吸わせるコもいる。今回の店ではキスもデフォのサービスに含まれていたようだ。
■その乳首、消毒してますか?
つまり、男性客と隣席し、おっぱいを揉ませ、キスまでするという、「三つの密」が行われていた。
しかも、乳首を完璧に消毒していない限り、前の客が舐めた乳首をそのまま口に含むことになる。正直、これではコロナ感染の確率が高くなるのも致し方ない。
おっパブのリスクが高い理由はほかにもある。もっと直接的な風俗店、ソープやヘルスが原則個室での一対一でのサービスを行っているのに対して、
おっパブのほとんどはキャバクラ様式の中〜大箱の店内という“ひとつの空間”でサービスが行われている(間仕切りで個室感を出す店もある)。
このように中規模な密閉空間が完成している上に、おっぱいをむき出しにするプレイスタイルが重なることで、より他者の目に触れにくい状況が不可欠となってくる。
そのために、照明を暗くしてキャストと客が密着する(ダウンタイムなどと呼ばれる)という知恵を使うのだ。だが、これがまた店側の管理を難しくする側面もあり、
コロナ禍においては、不利なサービス形態と言わざるを得ない。
https://www.zakzak.co.jp/soc/news/200721/dom2007210003-n1.html