2000年代に入り、世界各地、特にヨーロッパやアメリカにおけるカトリック司祭が犯した性的虐待事件が告発されるようになった。
それも一因なのだろう、ヨーロッパや北米のカトリック信者数の人口における割合は低下し、これらの地域では司祭の数も年々減少している。

7月17日に公開されたフランソワ・オゾン監督の新作『グレース・オブ・ゴッド 告発の時』は、
フランスを今も揺るがせている係争中のカトリックの神父による性虐待事件を映画化したもので、
2019年度のベルリン国際映画祭で審査員グランプリ銀熊賞を受賞した。

聖職者による性的虐待については、これまでも非常に優れたハリウッド映画やドキュメンタリーが存在するが、
犯罪や教会の隠蔽性に重点を置いたこれらの作品と異なり、
オゾン監督の新作は被害を受けた3人のサバイバーがそれぞれにトラウマと向き合い闘うさまを描いた点で一線を画する。

サバイバーと彼らの家族の苦悩や再生への道のり、そして、被害者の会の多様な人々を丁寧に、
余計な演出を一切を省いて映し出した本作は、サバイバーの怒りと悲しみが胸に迫る映画だ。



神父の「性的虐待」が止まらない…揺れ動くフランスの信仰心
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/74116