■性選択による無駄な「モテ形質」の進化が競争排除を緩め生物多様性を維持する
様々な種において、オスはメスにアピールするために巨大な角や鮮やかな色彩、模様、求愛ダンス等を進化させてきた。
しかしこのような進化は、個体からみると生殖に有利になるものの、種全体からみると、その増殖率には貢献しない、いわば無駄な進化になる。
だが研究グループによると、このような性選択による無駄な「モテ形質」の進化こそが、
競争排除を緩め生物多様性を維持するうえで重要な役割を果たすと考えられるという。
すなわち、競争に強い種の個体数が増えると、メスをめぐるオス間の競争が激しくなり、「モテ形質」が進化しやすくなる。
その結果、その種の持つエネルギーが、繁殖、成長、他種との競争等ではなく、無駄な「モテ形質」の進化に投資されてしまい、個体数が増えにくくなってしまう。
逆に、競争に弱い種の個体数が減ると、メスをめぐるオス間の競争が弱まり、「モテ形質」が進化しにくくなる。その結果、その種の持つエネルギーが、
無駄な「モテ形質」の進化に投資されず、繁殖、成長、他種との競争等に投資されることになり、個体数が増えやすくなる。
こうして、競争排除が緩められ、競争に弱い種でも生き残ることが可能になり、生物多様性が維持されるというわけだ。
研究グループによれば、同様のメカニズムは裏切り行動にもあてはまるという。裏切り行動とは、アリやハチ等の社会性昆虫等において、
個体の利益にはなるが集団の利益にはならない行動をいう。
https://www.zaikei.co.jp/article/20200715/576088.html