中国、香港国家安全法制を可決−黄之鋒氏や周庭氏が民主団体離脱へ

中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会は30日、香港国家安全法制の柱となる「香港国家安全維持法」草案を全会一致で可決した。
中国への香港返還記念日である7月1日までの施行が見込まれている。民主活動家、黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏はフェイスブックで、自ら創設に関わった政治団体「香港衆志(デモシスト)」からの離脱を表明した。

  北京で28日再開した全人代常務委は政権転覆と国家分裂、テロ活動、外国勢力と結託して国家安全に危害を加える行為を罰する同法制を審議していた。

  香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)が事情に詳しい関係者を引用して報じたところによると、中国国営新華社通信が30日午後に香港国家安全維持法の詳細を公表し、初めて同法が公に全面開示される見通し。

  香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は国家安全維持法の草案が可決されたとの報道直後に臨んだ定例記者会見で、「現時点で私が質問に答えたり、説明したりするのは不適切だ」と述べた。
同法を巡って多くの懸念があるという点は認めた。米国による制裁についてはおびえることはないと説明し、「われわれはそのような行動によって妨げられることはない」と語った。

  香港政府は30日に「香港国家安全法」を公布する見通しだと、地元紙の明報が情報源を示さずに報じた。中国は同日、今回の決定について高官による記者会見を開くという。一方、RTHK(香港電台)は同法が7月1日に発効すると伝えた。

  デモシストから離れると表明した黄氏は個人の身分で活動を続けると説明。香港国家安全法で禁錮数十年、中国本土への身柄引き渡しもあり得る中で、厳しい運命と不確実性に直面し、責任を担うには勇気が必要だとコメントした。

  周庭(アグネス・チョウ)氏らも各自のフェイスブックで同団体からの離脱を発表した。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-06-30/QCQ0C7T1UM0Y01