左翼が目指すのは法治の破壊

今の米国の暴動とそれを支持する人たちを見て私が強く感じるのは、法治の著しい軽視である。これは左翼に見られる典型的な態度である。
不法移民に対して寛容なことも、彼らの法の軽視を象徴する。それを目立たなくするため、歯向かう人に「移民反対の外国人差別主義者」とのレッテルを貼る。
しかし、実際には不法移民に厳しい政策を望む米国人の多くは、合法の移民には反対していないのである。

今回の暴動においても、法の軽視が被害を招いている例がある。日本ではほとんど報道されていないので、デービッド・ドーンの名を知る人は稀有だろう。
彼は元警官の黒人で、今回の暴動に乗じて商品を盗んだ暴徒を止めようとして殺された。その後捕まった犯人は、2014年にも強盗をして懲役7年の判決を受けたのに、保護観察になっていた人物であることが分かった。
刑が法律どおり執行されていれば、この殺人事件は起きなかったのである。こうした減刑の背景に左翼による政治的圧力がある。
新型コロナウイルス流行を理由に、米国の左翼が受刑者の釈放を求めたことは記憶に新しい。彼らは一貫して法を犯す者に甘い。

左翼が警察を極端に嫌うのも、それが法の執行機関だからであると考えると説明がつく。法治を尊重する者は、法に違反した警察官に対して、法に基づく処罰を求める。
法治を尊重しない者は、警察を解体して革命を起こそうとする。
シアトルでは警察が立ち入りできない自治区CHAZ(Capitol Hill Autonomous Zone)が作られたが、その内部ではあらゆる犯罪が野放しになっている。民主党のシアトル市長とワシントン州知事は見て見ぬふりを続けており、警察や州兵を動かす気配はない。

しばしば、暴徒たちは左翼ではなくアナーキスト(無政府主義者)ではないかとの指摘を受ける。しかし、自治区で彼らがやっていることは、武装による警備、みかじめ料の徴収、IDによる入境管理である。
これらはアナーキストのやることではない。彼らは既存の法律を無視するので一見アナーキストに見えるのかもしれないが、結局は自分が支配者になりたいだけなのである。

なお、シアトルの自治区CHAZは、その後CHOP(Capitol Hill Organized Protest)に名称を変えたが、この言葉には斬首(ギロチン)の意味がある。実際、シアトルの自治区で暴徒の次のようなやりとりが動画として記録されている。

リーダー「フランス革命に賛同しなかった人がどうなったか知っているか?」
仲間たち「首を斬られた(Chopped)」
リーダー「もっと大きな声で」
仲間たち「首を斬られた (Chopped)」
リーダー「これが俺たちのメッセージだ。真面目な話だ。冗談ではない」

世の中には、左翼が犯罪者に見せる情に騙される人がいる。しかし、彼らは自分に従わない者、さらには政治的に利用価値のない者には決して情を見せない。
彼らが犯罪者に甘いのは、治安が乱れると革命を起こしやすくなるからである。敵に対しては暴力の行使を全く躊躇しない。
左翼が目指すのは暴力による法治の破壊であることを我々は見誤ってはいけない。その先にあるのは、独裁による恐怖政治である。

執筆者:掛谷英紀

https://www.epochtimes.jp/p/2020/06/58461.html