●「積極的に報道してもらいたい」
「実は大変な作業です」。そう話すのは、神奈川県警で窃盗事件の捜査にあたった元刑事の
犯罪ジャーナリスト・小川泰平さん。窃盗事件を扱う捜査3課の仕事が長く、押収品を並べる作業もよく経験したという。
ーーどんなものが並べられるのでしょうか
拳銃、覚醒剤など所持することだけでも違法なものや、摘発した風俗店のコスチューム、盗品などです。最近では
高校野球のボールが陳列された様が見事だと話題になっていましたね。
ーー並べるのはどんなとき
たいていは広報担当の副署長が決めます。窃盗事件はメディアで大きく取り上げてもらえないので、積極的に
報道してもらえるように工夫する必要があります。
被疑者が送検されて、警察署に身柄がないときに、時間のある取調官や、証拠品の管理責任者などが1?3人で
並べます。よく使われるのは署の道場です。並べ終わったら、必ず副署長に最終確認をしてもらって、OKが出れば完成です。
●カメラマンの「広角レンズ」を意識した並べ方
ーー陳列に苦心の様子が見てとれます
少しでも多くのメディアに報じてもらうためには、見栄えを気にしなければいけません。手前には目立つものを置き、
色のグラデーションにも注意していましたね。副署長が署の近くの洋服屋からマネキンを借りてきたこともありました。
一方で、女性用下着などは生々しさを出さないよう、整然とベタ並べをするように心がけていました。
新聞もテレビも基本的に横長の写真・動画を使うので、縦に並べるのは厳禁。横四方に並べます。カメラマンが
広角レンズを使うので、手前から奥に物が増えて広がるような扇型にしたり、奥に箱を置いてシーツをかけて、
お雛様の「祭壇」のように立体感を出してみたりするんです。
また、道場には捜査に関わった警察官が待機して、メディアの注文に応えます。
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