あいちトリエンナーレは「国民の心情傷付けた」 日本国史学会が声明

 昭和天皇の肖像を燃やすような作品などが展示され物議を醸した芸術祭
「あいちトリエンナーレ2019」の実行委員会が、未払いとなっている芸術祭の
負担金の一部を名古屋市に支払うよう求めて提訴した問題で、日本国史学会
(代表理事・田中英道東北大名誉教授)は9日、提訴を取り下げるよう求める
声明を発表した。理由として、実行委の請求に法的根拠がないことや、
問題のある展示に公金を支出することの不当性を挙げている。

 声明では、実行委が展示内容について名古屋市長に知らせなかったことを
「名古屋市民の信頼を裏切る背信性の高いもの」と主張。負担金の交付を取り消す
条件に該当しており、実行委の請求を「法的根拠は認められない」としている。

 声明は、芸術祭の出品作についても問題視。昭和天皇の肖像を焼いたような
動画を「多数の国民の心情を傷付ける表現が意図的に用いられており、こうした表現を
公金支出によって奨励した実行委の行為は、これにより心情を傷付けられた多数の
国民に対する責任をも免れない」と指摘。公金の支出は「正当化されない」とした。

 昨年8月から10月まで行われた芸術祭では、企画展「表現の不自由展・その後」に
昭和天皇の肖像を焼いて灰を足で踏みにじるような動画のほか、元慰安婦を象徴する
「平和の少女像」などが出品された。抗議が殺到し企画展は開幕3日で中止となる騒動が起きた。

 名古屋市の河村たかし市長は展示内容を問題視し、芸術祭の負担金1億7102万
4000円のうち3380万2000円の支出を留保した。これに対し、愛知県の大村秀章知事が
会長を務める芸術祭の実行委は5月、支払いを求めて名古屋地裁に提訴していた。

https://www.sankei.com/life/news/200609/lif2006090028-n1.html