2014年8月、朝日新聞は慰安婦問題に関する「慰安婦問題を考える─読者の疑問に答えます」と題した検証記事を掲載した。
「第2次大戦中の韓国・済州島で吉田清治氏(故人)が200人の若い朝鮮人の女性を日本軍の現場に強制連行することに関与したと証言した」という記事に関するものだ。
吉田証言が虚偽だったことが判明したとし、当該の記事を取り消した。

 この大誤報は世間を騒がせた。検証記事の中に、謝罪がなかったことに対しても大きな批判を呼んだ。
しかし、朝日新聞はその後も誤報を続けた。
19年7月、朝日新聞は「元ハンセン病患者の家族への賠償を国に命じた熊本地裁判決について、政府は控訴して高裁で争う方針を固めた」と報じた直後、
安倍晋三首相は控訴しない方針を発表。安倍首相は家族へも謝罪をした。


時事通信フォト=写真

 なぜ、朝日新聞は誤報を繰り返すのか。「朝日の報道が目立っているだけで、新聞社による誤報なんて日常的です」。
そう語るのは全国紙で地方支局のキャップを務める30代中堅記者だ。

 「警察や自治体が何かしらの広報文を出したとして、それをもとに記事にしたとします。
しかしその後、発表した当局が広報文の訂正をするような事案は頻繁に起こります。
新聞社は『記事の訂正は発表訂正によるもの』と、あたかも責任がないかのように装いますが、
本来ならば当局の発表を鵜呑みにせず、裏どりして報じるべきです。
人手不足という実情はありますが、記者クラブと当局の妙な信頼関係のもと、
新聞社が裏どりせずに発表文だけで記事化してしまうことは多々あります」

■記者が人間である以上、誤報はなくならない

 地方紙の40代デスクはこうも話す。

 「先入観によって間違うことはあります。たとえば、火事で老夫婦が亡くなったので警察に電話取材するとします。
亡くなった2人の年齢を質問して『82と70』と教えてもらいました。
『結構、年の差あるなぁ』と思いつつ、なんとなく『夫のが年上』と思い込み、そのまま次は発火原因を聞いたとします。
そしていざ記事にしたら、実は年齢が逆だったと。
思い込みに注意しろ、とは記者には言っていますが、人間ってそもそも思い込みをする生き物なんですよね」

 しかし、取り返しのつかない誤報とそうでない誤報はあるだろう。
夫婦の年齢を間違えても国際問題にはならない。全国紙の政治部記者はこう話す。

 「そもそも、新聞記者って結論ありきで取材をしますし、先に“予定稿”を書いてから取材にいく場合も多い。
締め切りを意識して仕事をしなくてはいけないので、ある程度は準備する必要があるからです。
実際に取材したら予定稿の結論とは違っていた、ということはよくあって、
その都度修正すればいいのですが、中に予定稿に沿って誘導的な質問してしまうなどして、真実とは違う結論を導き出す場合もあります」

「朝日新聞の誤報」は、やめられない、止まらない
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200531-00035385-president-soci