つがる4人死亡事故 19日初公判/被告、無罪主張の方針/被害者の会「命の重さ感じて」
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青森県つがる市で2018年9月に男女4人が死亡した多重事故で、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)の罪で起訴された被告の無職の男(34)=同市森田町=の裁判員裁判が、青森地裁で19日から始まる。
悲惨な事故を重ねても、今なお県内で摘発される飲酒運転は年間300件以上に上る。事故や犯罪被害者の自助グループの代表者は「飲酒運転の当事者が何年刑に服そうが、亡くなった人は戻ってこない。命の重さを感じてほしい」と訴える。

 捜査関係者や被告側の関係者の話を総合すると、同被告は酒を飲んで車を運転し事故を起こしたことは認める一方、事故前に現金自動預払機(ATM)に暗証番号を入力しお金を下ろしていることや、現場の国道に出るまで細い路地を運転していることなどを挙げ、
「正常な運転はできた」という趣旨の供述をしている。裁判では起訴内容を否認し、無罪を主張する方針。被害者への謝罪の言葉も述べているという。

 飲酒運転を巡っては01年、法定刑の上限が懲役20年の危険運転致死傷罪が刑法に新設され(14年に交通事故関連規定を分離)、07年には同乗者の罰則規定を盛り込んだ改正道交法が施行されるなど、厳罰化が進んだ。それでもなお、飲酒運転は県内で繰り返されている。

 県警によると、昨年県内で道交法違反(酒気帯び、酒酔い運転)で逮捕または書類送検された件数は351件。450件前後だった15〜17年に比べると件数は減ったものの、ほぼ1日1件のペースで摘発が続く。
飲酒がらみの事故も後を絶たず、昨年は30件の事故があり、4人が犠牲となった。交通指導課の樋口敬志次長は「摘発されたのは氷山の一角にすぎない」と強調する。動機は「家がすぐ近くだから」「少し飲んだだけ」など、安易なものが多い。

 男女4人が亡くなったつがる市の事故は発生から約1年8カ月が過ぎたものの、遺族らの悲しみは深く一様に口を閉ざしている。事件や事故の被害者や遺族の自助グループ「青森被害者語りの会」の田代祐子代表=階上町=は「不注意の事故はなくせないかもしれないが、飲酒運転の場合は酒を飲んで運転しなければいいだけ。
わかりきったことなのにやる人がいる。普通の感覚では理解に苦しむ」と話す。田代さん自身、01年に交通事故で当時8歳の次男を亡くしており「遺族は事故後、本当に苦しい思いや生活を強いられる。同じ思いをする人を増やしたくない」と語った。