キムチや納豆など発酵食品の売り上げが伸びている。新型コロナウイルスの感染拡大で、健康志向が広がっているためだ。感染予防の効果は検証されていないのに、買い占めの動きも出ており、消費者庁などが注意を呼びかけている。

東京都内のスーパーでは、キムチの売れ行きが好調だ。5月1〜14日の売り上げは、前年と比べて60・8%増と大きく伸びている。担当者は「発酵食品が健康に良いと捉えられている」と話す。

大手の漬物メーカーは、契約農家からの調達だけでは原料のハクサイが足りなくなり、市場から仕入れている。東京都中央卸売市場のハクサイの価格は、4月下旬に前年の3倍超まで高騰した。

発酵食品は、細菌やウイルスが体に侵入してきたときに体を守る「免疫力」の維持・向上につながるとされる。調査会社インテージが、全国のスーパーなど約3000店のデータを集計したところ、4月27日〜5月3日の1週間では納豆の売り上げが前年と比べて26・1%増と大きく伸びた。ヨーグルトや乳酸菌飲料、みそも軒並み増え、「2月初旬から前年を上回る状況が続いている」(担当者)。

消費者庁は、「(食品などの)ウイルスに対する効果を裏付ける根拠は認められていない」としており、効果をうたうような紛らわしい表示に警戒感を強めている。

これまでに、トイレットペーパーやコメなどの買い占め騒動が起きていることから、農林水産省も「落ち着いた購買行動を」と呼びかけている。

https://www.yomiuri.co.jp/national/20200517-OYT1T50101/