<社説>日本復帰48年 基地なき沖縄へ歩み続く

48年前のきょう、沖縄は日本に復帰した。

米統治下の27年の間に戦後復興から取り残された経済の遅れを取り戻そうと、これまで5次にわたる沖縄振興計画の下で社会資本の整備や産業振興策が実施され、生活水準は向上してきた。
当初は本土との格差是正が目標だったが、近年は国内屈指の成長力で、アジアへの懸け橋として日本経済のけん引役を目指すまでになった。

一方で、県民生活を圧迫する米軍基地の存在は、復帰から48年を経ても何も変わっていない。
国土面積の0・6%の沖縄に、全国の米軍専用施設面積の70%が集中する。米軍機の墜落や部品落下がたびたび起きている。
普天間飛行場から大量の泡消火剤が流出した事故のように、基地から派生する環境汚染も深刻だ。
過重な基地負担は減らないばかりか、中国をにらんだ前線基地として沖縄を要塞化する危険な動きが進む。

名護市辺野古への新基地建設だけではない。伊江島補助飛行場内では機能強化を目的に滑走路と離着陸帯の改修が進められている。
自衛隊は防衛力の南西シフトとして、宮古島や八重山諸島への部隊配備を推し進めている。

県民は復帰に際し、米支配からの脱却と、沖縄戦の悲劇を二度と繰り返さない平和の到来を何より願った。
だが、沖縄の民意より日米安保の安定を優先する政治が続き、沖縄の自治は踏みにじられる。

象徴的なのは、新型コロナウイルスの感染防止対策で県が独自の緊急事態を宣言した翌日に、安倍政権が辺野古新基地建設を巡る設計変更を抜き打ち的に県に申請したことだ。
全都道府県が懸命にコロナ対策に取り組んでいるさなかである。国と県の関係は正常な在り方とは程遠い。

政府の強権的な姿勢は、日本社会にはびこる「沖縄ヘイト」を助長してもいる。
ここまで差別的な扱いを受け続けると、帰ることを切望した「祖国」とは何だったのかという失望感にとらわれる。

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