ある日、曽子(孔子の門弟、前505‐前435)の妻が町へ行こうとしたところ、幼い息子が一緒に行きたいと泣き出した。そこで妻は子どもをあやして、
「おうちで待っててね。帰ったら、豚を殺してごちそうしてあげるから」と言って出かけた。
妻が町から帰ると、夫の曽子が本当に豚を殺そうとしていた。妻はあわてて止め、「私は、あの子をあやすために、冗談を言っただけなのよ」と言った。
すると、曽子は、「子どもに冗談など言ってはだめだ。子どもは幼いうえ知識もない。いつも、親のまねをし、親の言うことを聞くものだ。今日、
おまえがあの子を騙したとしたら、あの子に人を騙すことを教えたことになる。母親が子どもを騙したら、その子は自分の母親を信じられなくなる。
これでは決して子どもを教え諭すことはできない」と言って、本当にその豚を殺し、息子にごちそうしてやった。
https://www.epochtimes.jp/p/2020/04/55094.html