イーロン・マスクが病院に送った「人工呼吸器」とは何だったのか?
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200409-00000009-giz-sci
思ってたんと違う…。
コロナ最前線で戦う医療現場にTeslaが約束の「人工呼吸器」を送り、NYの病院から感謝の写真(上)が届いて、イーロン・マスクCEOも「力になれてうれしいです! もっと必要だったら言ってください」
とまんざらでもない様子でやる気を滲ませていたところ、横から「それ人工呼吸器じゃない」、「CPAPに見える」という声が湧き起こり対応に苦慮しています。
価格60分の1、5年落ちの
Finantial Timesによると、写真の40台はResMed社が生産を終了した5年落ちの「S9 Elite BiPAP」。
BiPAPは無呼吸予防用の陽圧鼻マスクのCPAPと似てますが、吸うのと吐くので圧力を分けられるタイプのものを指します。
気になるお値段は800ドル(約8万7200円)で、集中治療室用で不足が叫ばれている5万ドル(約545万円)の侵襲的人工呼吸器 (気管挿管や気管切開をおこなって直接気道を確保するタイプの人工呼吸器) とは似て非なるものです。
「FDA認可のResMed製とPhilips & Medtronic製の人工呼吸器1225台を中国のサプライヤから確保した」とマスクCEOは言っているのですが…。
タイ洞窟救助の既視感
マスクCEOと言えば、前にもこんなことがありましたよね。タイの洞窟のサッカー少年チーム救出のときにも出番のないミニ潜水艦を送って美談と報じられ、「あんな長い潜水艦じゃ50mも進めない。ただの売名行為だった」
と現場の感想を述べた救助ダイバーのVernon Unsworthさんを「ペド野郎」と罵って名誉毀損で訴えられたのは記憶に新しいところではないでしょうか(裁判では「幼児レイプ犯」、「12歳女児と結婚した」というCEOの言い分は間違いで、
マスク家の執務室長が探偵にダイバーの弱み探しを依頼し、探偵が100万円の報酬欲しさにでっち上げたウソ情報であることがわかっています)。
今回も現場では「病院が必要なものとも、マスクCEOが確保・寄贈したと言っているものとも違う」(匿名職員)という一抹の違和感はあるのですが、ないよりは助かるのでみなありがたく頂戴しているみたいです。
転用できないの?
FDAの新ガイドラインでは、マスクCEOの言うように、CPAPやBiPAPなどの非侵襲的人工呼吸器もCOVID-19の治療に転用していいと明記されています。
ただ、米国麻酔学会によると、高度な人工呼吸器と違ってCPAPはウイルスをまき散らすんだそうですよ?
現に、感染者129人、死者40人を出して米国初のクラスタとなったシアトル郊外の特養施設「Life Care Center」でも、CPAPの使用が爆発的感染の原因ではないかと疑問視されています(Kaiser Health Newsより)。