新型コロナウイルス感染症の拡大が続き、東京都でも医療体制に危機感が強まっている。
国立国際医療研究センター国際感染症対策室医長の忽那賢志さんは、今月中にも新たに回復した人の血しょうを投与する臨床試験を始め、効果ある治療法を探す。
感染症指定医療機関という最前線で治療に当たる専門医は今、どんな風景を見ているのか。忽那さんにお話を伺った。
※インタビューは4月3日夜に行われ、その時点の情報に基づいている。
【BuzzFeed Japan Medical / 岩永直子】
回復者の血液を取って患者に投与する臨床試験を開始
ーー新型コロナウイルスの治療法がない中、国際医療研究センターでは、レムデシビルという抗ウイルス薬の臨床試験が始まっていますが、また新しい治療法の試験に取りかかるそうですね。
回復者の血液を採って、その血しょうを患者に投与する「回復者血しょう投与」を今月中にも始める予定です。
輸血のような形で献血をしていただいて、血しょうをそのまま患者に投与することで、血しょうの中に含まれる抗体がを患者の体内のウイルスをやっつけるという治療法です。かなり原始的な理論ですが、期待できそうです。
アメリカで5例報告が出ており、5例とも劇的に回復しています。まだ5例に過ぎませんが、理論的には効くはずです。
国内でもやろうと思って準備をし、今月中に倫理委員会の承認がおりる見込みです。
おそらくこの治療法の研究を行なうのは国内で初めてです。
海外ではMERS(中東呼吸器症候群)やSARS(重症急性呼吸器症候群)、エボラ出血熱でも使われていた治療法です。
ーーMERSの研究班が国内でもありましたが、その報告書にも入っている治療法なのでしょうか?
そのMERSの研究班で僕が回復者血しょう投与の担当者だったんです。当時、国立感染症研究所と日赤中央研究所とMERSに対するこの治療の枠組みは作っていました。
今回、新型コロナが出てきて緊急事態ということで、一気に話が進んでいます。
ーー何人ぐらいに投与するのですか?
最初の10例ぐらいは安全性を評価しながら進め、問題なければ50例ぐらい増やします。効果があればもっと規模を広げてやろうと思います。
ーー1人の血しょうで複数に投与できるのですか?
最初は400ccぐらい採って、1〜2人ぐらいに投与することを考えています。治療薬の試験もカレトラは効果が明らかになりませんでしたし、アビガンも論文が取り下げられるなど今のところ有効性は明らかではありません。
レムデシビルが効けばいいですが、効かないと手がなくなるので、回復者血しょう投与も試した方がいい。実験室レベルのデータではレムデシビルかクロロキンが期待できそうです。
いかそ
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200404-00010001-bfj-soci