11歳で起業、自宅に学習塾 鈴鹿の浜口さん
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自宅で塾を開くため、鈴鹿税務署に提出した開業届け出書の控えを手にする浜口さん=鈴鹿市下大久保町で
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経営に関心がある鈴鹿市内の女子小学生が起業した。勉強好きな性格を生かして学習塾を自宅で開くことを思い立ち、鈴鹿税務署に開業を届け出た。講師として弟、妹世代に学ぶ喜びを伝えつつ、経営者としても切り盛りしていく。「勉強が楽しいと感じてもらえる塾にしたい。事業運営の難しさも知りたい」と意欲的だ。
同市下大久保町の小学五年、浜口祐衣さん(11)。父は自動車カスタム業を、母はネイル教室を営む。自営で働く姿を身近に見て自由に仕事が選べるのを魅力に感じていた。いつか起業する際、知識があれば役に立つと昨秋には鈴鹿商工会議所の「すずか創業塾」に参加。
「自分ができること、好きなことで何の事業を始めるかを決めた方がいい」。二十代前半〜六十代後半の十五人と机を並べて学ぶ中、ビジネスプラン作りで講師の経営コンサルタントから受けた助言が心に響いた。浜口さんが考えた結果が同世代向けの学習塾。「好きなのは勉強。得意でない子も内容が理解できれば楽しさが分かるはず」。年齢が近い分、親しみを抱いてもらいやすく、つまずく理由もつかみやすい。
講座の最終回でそんな発表をしたが、この強みは小学生の今しか出せないと思い至り、起業を決意。中学受験を一年後に控え、収入が教育費の足しになればとも考えた。「指示待ちでなく、考えて行動する力を付けてほしい」とする母の純さんも賛同し、ネイル教室の託児スペースだった自宅の六畳間を模様替え。学習塾「こどもLabo」にした。
準備は他人の手を極力借りなかった。生徒らが使う座卓や気分転換用の知育玩具は、小遣いのほか、所有の本をリサイクル店に売って工面。勉強の進捗(しんちょく)や苦手な部分を記入する受講日誌、領収書などの書類は自宅のパソコンで作った。PRチラシは母と仲が良い自営業者に頼んで店舗に置かせてもらった。
塾は毎週木曜日の夕方、一こま一時間を二こま。対象は小学生以下で、一こま最大四人の宿題をみるほか自作の問題を解いてもらう。一人一こま千円。浜口さんは一人っ子だが、託児で母をよく手伝い、幼い子の扱いに自信もある。
半額での試験開業をこれまでに五回開き、年長児から小学六年生までの延べ十一人を教え、手応えを感じている浜口さん。「勉強は問題が解けるとスッキリする。お金をもらうので、遊び気分ではだめ。『自分で行きたい、勉強が楽しい』と言ってもらえる塾が目標です」と意気込んでいる。