イタリア、急速に深化した対中関係が裏目に?「感染拡大の要因」指摘の声

【北京=中川孝之】イタリアでの新型コロナウイルス感染拡大の要因として、近年結びつきが
強まる中国との関係を指摘する声が上がっている。イタリアは中国の巨大経済圏構想「一帯
一路」に昨年参加し、民間レベルでも人の行き来が拡大しているためだ。
 中国外務省によると、王毅国務委員兼外相は10日にイタリアのディマイオ外相と電話
会談し、マスクの提供や医療チームの派遣を申し出た。電話会談は2月28日にも行われ、
王氏は「健康のシルクロード」を共に築きたいと語り、支援の意向を伝えていた。

 習近平国家主席は昨年3月にローマを訪問し、先進7か国(G7)との間では初めてと
なる「一帯一路」の協力文書をコンテ首相と交わした。両国は今年を文化・観光交流を促進
する年と位置づけ、1月にローマで記念式典も開いた。
 こうした関係強化が裏目に出た可能性がある。昨年イタリアを訪れた中国人観光客は、
前年比100万人増の600万人に達したとの試算がある。イタリアでの感染拡大との
因果関係は不明だが、ロイター通信によると、1月末にイタリアで最初に感染が確認された
のは、湖北省武漢市から旅行に来た中国人の夫婦だった。
 イタリアでは中国系住民が増加しており、全土では約40万人に達するとされる。中国系
住民の7割は、中国本土で感染が深刻な浙江省温州市の出身者が占め、繊維関連の工場で
働く労働者が多い。(略)
https://www.yomiuri.co.jp/world/20200311-OYT1T50202/