米国で進む「グリーティングカード離れ」、業界大手が破産宣告
2/24(月) 10:00配信
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110年の歴史を誇るグリーティングカードの老舗の米「ホールマーク(Hallmark)」が、コストカットやオンライン販売への注力で、事業を立て直そうとしている。ソーシャルメディアが全盛の今、グリーティングカード業界は顧客離れが進んでいる。ホールマークの競合のパピルス(Papyrus)は先日、破産宣告を行った。
かつて人々が季節ごとに贈りあったグリーティングカードは今や、テキストメッセージやSNSのやり取りに置き換えられようとしている。
ホールマークの再生プランについて報じたウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、全米で約2000店舗を展開中の同社は今後、オンライン販売に注力を進め、新たなスタイルのリアル店舗の設置を検討しているという。
2000店舗のうちホールマークの直営店は数百店舗あるが、個人が運営する店の多くは廃業を検討しているという。同社の競合で70年以上の歴史を持つパピルスは、破産を宣告し、米国とカナダの245店舗を閉鎖する。これにより1400人が失業するという。
ワシントン・ポストの報道によると、経営不振に陥ったパピルスは買い手を探したが見つからず、コスト削減にも苦戦したという。ただし、ホールマークやパピルスのブランドが消えてしまうことはあり得ない。パピルスブランドを保有するAmerican Greetingsは、全米の2000店舗を通じてパピルスのグリーティングカードの販売を継続する。
一方で、ホールマークは知名度を活かして様々な事業を展開し、有料テレビネットワークの「ホールマーク・チャンネル(Hallmark Channel)」も運営中だ。
グリーティングカード業界の不振の背景には、様々な要因がある。Eコマースの隆盛に加え、近年は重要な販売拠点だったショッピングモールの閉鎖も相次いでいる。
コロンビアビジネススクール教授のMark Cohenは「グリーティングカードはSNSの絵文字に市場を奪われた」と話す。専門家の間からは、現代の米国人は郵便でグリーティングカードを贈るよりも、SNSに投稿することを好んでいるとの指摘もあがっている。
WSJによると、2019年の米国でのグリーティングカードの売上は45億ドルだったというが、過去5年で売上は13%低下したという。