国連が職員に対して、対話アプリ「WhatsApp(ワッツアップ)」の職務上の使用を事実上、禁止としていることが明らかになった。
安全性やプライバシー保護の問題から、2019年6月に勧告したという。事務総長の副報道官が23日に明らかにした。

ワッツアップには利用者とその連絡先の居場所を追跡できる機能がある。
国連職員がいつ、どこで、誰と会合をしているかなどの内部情報が流出するリスクが高いという。

ワッツアップを巡っては、国連人権理事会の特別報告者が22日の声明で、
米アマゾン・ドット・コムのジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)の携帯電話がワッツアップを通じてハッキング被害に遭ったとして、
関係当局による迅速な捜査を求めていた。サウジアラビアのムハンマド皇太子が関与していた可能性がある。

国連関係者によると、フェイスブック傘下のワッツアップ以外にも楽天が14年に買収した通話アプリ「バイバー」が利用禁止となっている。
一方、米対話アプリ「シグナル」はプライバシー保護機能が高いと認定、他に手段がない場合は同サービスを使うよう呼びかけている。

国連では17年に北朝鮮制裁委員会の専門家パネルがサイバー攻撃に遭うなど職員や高官がハッキングの標的になっている。

ワッツアップの使用を巡っては、ドイツの自動車部品大手コンチネンタルが18年6月に社員の利用を禁じた。
アプリによる携帯電話内の情報へのアクセスを制限できないことを理由に挙げた。



国連、職員の「WhatsApp」使用を禁止 安全性を問題視
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54845170V20C20A1000000/