なんとか許可された同行取材 環境省の調査団が見た光景
フレコンバッグ流出の現場で
https://digital.asahi.com/articles/ASN1K34NGN17UGTB003.html
三浦英之
2020年1月20日 15時30分

夜が明けるのを待っていた。

台風19号の通過から3日が過ぎた昨年10月16日朝。
原発事故で生じた除染廃棄物を詰めたフレコンバッグ(保管袋)が川へと流出した、
福島県田村市の仮置き場に車を止めて張り込んだ。

前日夕、仮置き場の脇を流れる川を下見したところ、対岸の雑木林に張り付いている、
フレコンバッグと見られる黒い袋を見つけた。川が増水していて近づけないが、
水量が減れば、
きっと環境省の調査団が回収に来る。調査に同行することで、
本来安全に管理されなければならない除染廃棄物の仮置き場で一体何が起きたのかを報じたいと思った。

フレコンバッグの流出発覚から2日後の15日、政府は早くも事態を沈静化する方向に動いた。
小泉進次郎環境相(38)は同日の参議院予算委員会で
「回収されたものは容器に破損はなく、環境への影響はない」と発言していた。

「本当にそう言い切れるのか?」

現場の状況を見る限り、環境相の発言は時期尚早のように思えた。

仮置き場を管理する田村市の担当者は、流出した袋の数を「不明」とし、
中身の除染廃棄物が漏出した可能性についても「調査中」と答えていた。
第一、まだ本格的な調査が始まっていない。