「ウィキペディア」にも男女格差 ネット事典、男性記事が8割占める

是正目指す「ウィキギャップ」

 インターネット上の百科事典「ウィキペディア」。何かを検索したら上位に出てくるおなじみのサイトだ。
ただ、人物を紹介する記事の約8割は男性で、女性は実績があって著名でも記事が存在しないケースも多いという。
そこで、ウィキペディアに女性の記事を増やし、ネット上の男女格差をなくそうというイベント「ウィキギャップ」が世界各地で開かれている。
新たな試みが目指すゴールは、ネット上だけでなく、実社会における格差解消だ。

 2001年に登場したウィキペディアは、誰もが無料で自由に編集に参加できるのが特徴で、世界約300言語で展開されている。

 11月末、福岡市内のビルの一室で、女性を中心に15人ほどがパソコンに向き合い、作業に没頭していた。
それぞれが詩人や経済学者など「載せるにふさわしい」と思う女性の業績や経歴を調べ、3時間ほどかけて執筆した。

 参加した司書の古島信子さん(50)はネットサーフィンという言葉を普及させたとされる司書「ジーン・アーマー・ポリー」について翻訳。
「興味を持った人が彼女を知るツールの一つになればうれしい」

 なぜ男性の記事が多いのか。「執筆者に男性が多いので、女性著名人や女性の関心が高い事柄は軽視されやすい」と指摘するのは
ウィキペディアに詳しい武蔵大の北村紗衣准教授(フェミニズム批評)。英王室キャサリン妃のウエディングドレスに関する記事や
ブラックホールの撮影に携わった女性科学者に関する記事が「百科事典として取り上げるに足らない話題」として“削除依頼”が出されたこともあるそうだ。

 運営するウィキメディア財団によると執筆者の9割が男性と推測される。北村准教授は「書く人の多様性がないと内容にも偏りが生じる。
女性執筆者が増えることが女性記事の増加、百科事典の質の向上につながる」と力を込める。

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https://www.nishinippon.co.jp/item/n/570293/