ズロースなんて、いやらしくてはけない」
「下着の文化史」によれば、大正時代からの女性の社会進出と関連して「カフェの女給は、たいていは白いエプロン姿で、着物の上に着付けていた。
しかしこれは、別に洋装の下着を着けていたわけではなく、腰巻姿であった」「上に着るものが洋装化していても、下に着る下着が必ずしも全て洋装化したというわけではなかった。
洋服の下に腰巻というのもかなりあった。当時は大体洋服の半分ぐらいの人が下は腰巻だったといわれている」と述べている。
理由として「女性にとっては、ズロースをはくことは、感覚的には局部を冒瀆するような一種の恥ずかしさを与えた。それは、腰巻の下で解放的であった皮膚は、理屈では分かっていても、感覚的には何か抵抗を感じたのである。
いわば感性と理性の戦いであり、新しい服装には想像以上に難しい問題があったのである」と書いている。
「女の風俗史」も「ズロースはオコシ(腰巻)と違って肌に密着する下ばきです。これは着物生活にはない経験で、本来局部を保護するものでありながら、何かいやらしい感じを与えたのです」と書いている。
ある待合の女将は「腰巻では『頼りない』ことを十分認めながら、『ズロースなんて、いやらしくてはけない』と私に告白しました」という。
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