横浜市が木製ストロー開発 海洋プラごみ削減へ
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山梨県にある道志水源林のスギの間伐材でつくられた木製ストロー
深刻化する海洋プラスチックごみ(海洋プラごみ)問題への対策が急がれるなか、海洋汚染の一因となっている
プラスチック製ストローの削減に向けた動きが神奈川県内でも広がっている。横浜市は民間企業と協力して、
間伐材を活用した木製ストローを開発し、普及を進める事業を考案した。世界各国が取り組む国連の
「持続可能な開発目標(SDGs)」を追い風にしながら、市民の環境保護意識の醸成や間伐材の活用、
障害者の雇用創出などにつなげたい考えだ。
今回、市が住宅メーカーの「アキュラホーム」(東京)と共同開発したのは、横浜産木製ストロー
「SDGsストロー・ヨコハマ」。1日から、市内の飲食店やホテルなどへの販売をスタートした。
すでに「横浜ベイシェラトン ホテル&タワーズ」(同市)や成田空港(千葉)が導入を予定している。
■間伐材の有効活用
木製ストローは、長さ約20センチで、口径約5ミリ。手作業で、厚さ0・15ミリにスライスした
スギの間伐材をらせん状に巻いて筒状にする。日総工産(同市)のグループで障害者雇用に取り組む特例子会社
「日総ぴゅあ」(同市)に製造を依頼しており、月1万本程度の生産を目指す。
原材料は、市が保有する山梨県道志村内の「道志水源林」からとれる間伐材だ。年間、約2万本のスギなどを
間伐しており、有効利用を図るために山から搬出するのは約200〜300本。これまで、施設整備に利用するなどしていたが、
新たに間伐材を有効活用するツールが増えた格好だ。
ストローに着目した点について、市の担当者は「代替が可能なストローからプラ削減に取り組み始めた。
他のプラ製品の代替品が誕生した場合、また取り入れていきたい」とする。
■大量消費を脱却へ
木製ストローの価格は、1本当たり税別で50円。1本0・5円程度のプラスチック製ストローの約100倍に当たる。
消費者に無料でストローを配布している事業者にとって、コストが高いことは痛手といえる。だが、市の担当者は
「ただでストローを提供するという概念を変えていく必要がある」とし、「プラスチック製ストローの大量生産、
大量消費の考えから脱却させる存在にしたい」と話す。
国連環境計画(UNEP)が平成30年に発表した報告書によると、日本の一人当たりのプラごみの発生量は、
アメリカに次いで世界第2位。海に流れ出ているプラごみは、国内で2万〜6万トンに上ると推計され、
波や紫外線などの影響で5ミリ以下に粉砕された「マイクロプラスチック」は、生態系への影響も懸念されている。
海洋プラごみが問題視されている理由の一つが、海洋生物へ与える甚大な影響だ。世界自然保護基金(WWF)によると、
世界では、年間800万トンものプラスチックが河川や海などに捨てられ、そのごみなどを飲み込んだり、
体に絡ませたりして、ウミガメや海鳥など約700種もの生き物が傷つき、命を落としている。
以下ソース
https://www.sankei.com/life/news/191205/lif1912050039-n1.html