https://wired.jp/2019/11/30/los-angeles-blade-runner-theory/

1982年のSF映画『ブレードランナー』の舞台は、ちょうどまさに現在、すなわち2019年11月だった。その世界は現在のロサンジェルスを、そして未来を的確に“予言”できていたのだろうか?

ロサンジェルス市が誕生してから238年が経っているだが、米国東部の人たちや、ロサンジェルスでもラシエネガ大通りより東に行ったことのない人たちは、ロサンジェルスには歴史がないと言ったりする。いろいろな理由から、それはまったくばかばかしい言い草だ。

それでも、そう言いたくなる気持ちもわからないではない。ロサンジェルスは火事、洪水、地震、暴動などによって何度も破壊され、再建を強いられてきたからだ。
ロサンジェルス盆地は四方から地殻変動の影響を受け、季節によっては湿地になる土地で、毎年のように熱風と火災の洗礼を受け、原住民トンヴァ族の住む土地にスペイン人が入り込むよりずいぶん前から、頭上にはスモッグのような霧が立ち込めていた。

最近もまた、山火事が発生している。まるで、それがこの地の伝統であるとでもいうように。小説家や映画監督たちが自分の作品の第3幕あたりでロサンジェルスの街を燃やしたがるのも、不思議なことではないかもしれない。

もしかしたら、人々がこの都市の歴史を飾りたがる理由のひとつは、ロサンジェルスという都市が自らの未来についてあまりにも多くを語ってきたからかもしれない。
現在は2019年11月、つまり、ロサンジェルスを描いた原典といえる映画のひとつ『ブレードランナー』の時間に現実が追いついたことになる。

この作品が発表されたのは1982年だが、物語は当時からすれば未来である2019年11月に設定されていた。ロサンジェルスっ子たちはこのときを待っていただろう。
それはちょうど、高速道路の標識があなたの出る出口をかなり前もって知らせてくれていたようなものだ。

(続く)